第2話 始まり

目が覚めた。うん?なんだろこの違和感は。僕の目に入ってきたのは知らない天井、知らない窓、知らないベッドそして知らない銀髪の綺麗な女性。あの真っ白な空間で出会った女神様と同じくらい綺麗な女性がそこにはいた。


違和感が拭えないがとりあえず話かけようと声を出すが


「あ〜う…あ〜うああ」

これが僕の声?理解ができない。言葉が発せられない。まるで赤ちゃんの様な…………赤ちゃん?


そう僕は赤ちゃんになっていた。あの世じゃなく。僕はあのとき確かに死神さんにあの世に連れてってもらう約束をした。なのに今僕は赤ちゃんとして知らない女性に抱きかかえられている。わからない、わからないこんなのまるで生まれ変わったみ………たい。


生まれ変わる?そんな嘘でしょ?僕はあの女神が言っていた異世界転生をしてしまったようだ。


僕が一人、この状況を頭の中で理解しようとしている時に


「は〜い、いい子ですね~クロムちゃ~ん」

銀髪の綺麗な女性が僕に向かって知らない名前を言いながら抱っこしている。そっか、僕は本当に異世界転生してしまったんだ。そしてこの世界での僕の母親がこの人なんだ。………気持ち悪っ


僕はふとそう思った。目尻を下げ猫なで声で僕をまるで宝物を触るように優しく触れる。そのすべてが気持ち悪くて仕方がなかった。僕はゾッとしてしまった。こんな優しい顔をしてる人に対して気持ち悪くなる自分とまた人生を1からしないと行けないのかと思うと背筋が凍った。



しばらくして眠くなりそして寝かしつけた母親がこの部屋からでていった。最後まで優しい顔を崩すことなく僕の面倒をみた。そしてまたしばらくしてから目が覚め、僕はなんとなく近くにいるであろうこの原因を作ったヤツを頭の中で呼んだ。


(………おい)

すると悪びれることもなく下品な笑い方で


(ケケケ、おはよう。おいおい、そんな顔するなよ。)


(僕はあの世に連れてけと言ったはずなんだけど?もしかして理解ができなかったのかな?死神)


(なんだなんだ?あの空間にいた時と随分態度がちがうじゃねーか!しかもなんだその殺気は。勘弁してくれよ〜オレだって大変だったんだぜ、お前の要望の退屈しない楽しいものを選ぶのは)


(これのどこが楽しいんだ?言ったはずだけど僕は死にたかったんだ。なのにお前はあの女神と同じように僕を異世界に転生させやがった。これについては何か意見があるのか?)


(あのな、お前はあの世には行けなかったんだ。だから女神はお前を異世界転生させたかったんだとおもうぜ?もし断ったらお前は元の世界に戻ることになってたんだからな!)


(は?元の世界?僕は死んだはずだけど?)


(そもそもの問題。お前は元の世界で死んでない。あのあと奇跡的に助かったんだよ。だが女神はお前の事を考え、あそこでの生活に戻るのはきついだろうと異世界転生を持ちかけたんだ。)


僕が死んでなかった?心臓を一突きしたんだぞ?警察が来てすぐに救急車を呼んでも時間はかかる。あ、そうか警察と一緒に救急車も呼んでたんだ。それで奇跡的に生き残ったっわけか。多分呼んだのはあの時泣きじゃくってた女のコだ。まったく余計なことをしてくれたものだ。


(おい、死神。なら僕を今すぐ殺せ!そしたら無断で異世界に連れてきたことを許してやる)


(それは無理だ)


(は?)


(お前にはオレの加護が付いてしまった。死神の加護だ。だからお前は殺せない)


(意味がわからない。加護とはなんだ?なぜ殺せない?)


(加護ってのは女神や神様などから力の恩恵が与えられることだな。例えばあの女神は生命を担当してるから恐らく人よりも長く生きることが出来るみたいなの力が働く。でだ、オレは死を司る神、死神だ。その死神の加護ってのは死ねない。言ったら死神と同じ能力を使えるというものだ)


つまりこの死神のせいで僕は何をしても死ぬことができないということだ。ふざけるな。僕がどうしょうもなく憤っていると


(でも一つだけ死神を殺すことが出来る方法がある。)


そう言った死神は嫌らしい笑みを浮かべた。

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