友達

 数か月後

 あまねは引き取り手が見つからず、児童養護施設に来た。


「あまねくん、なんで自分でやらないの?」


 あまねは生まれた時の障害かどうかはわからないが、急な環境の変化に対応できなかった。それに、世の中はまだ異能力者への風当たりが強かった。


 色々なことが重なって、あまねは年齢と見合わないくらいにどんどん内向的になっていった。



 そんな中、一人だけ、あまねに話しかけてくれる人がいた。



「あまねくん、てつだうよ」

「ありがとう、ゆうきくん」



 そのゆうきという少年は、あまねのことをいつも気にかけてくれている。ただ仲良くしてるだけだとは思うが。


 ゆうきはあまねと同い年ということもあって、同じ部屋だった。


 それに、あまねの左手の甲にある竜雲の傷が見える。ゆうきにも同じ傷がある。この傷は、同じ異能力者じゃないと見えない傷だ。ゆうきはそれもあって、あまねに話しかけてきているのだと思う。


 ◇◇◇


「ゆうきくんはさ、なんでここにいるの? なんか、あったんでしょ?」


 4歳になった頃、あまねとゆうきは施設内でかなり孤立していた。そんな時、過去のことを聞いた。あまねはただ興味があったから聞いた。あまねも聞かれれば話せる。


「ぼく、知らないんだよね、自分がなんでここにいるか」

「そうなんだ……」

「気付いたころには、ここにいたって感じ」

「へぇ……」


「あまねくんは?」

「ぼくは、おかあさんとおとうさんが、死んじゃって……」

「そうなんだ……」


 お互いにすんなりと過去を言い合った。誰も二人に近づこうとしないから、誰かに聞かれる心配もない。



「あまねくんはさ、この傷の意味、知ってる?」

「知らないけど、なんとなくはわかるかも」

「えっと……」

「竜雲の話?」

「そう。あまねくん、知ってたんだね」

「うん。おかあさんの友達に聞いた」

「そっか。ぼくは、ここの人から聞いた。ぼくは、これのおかげで、全然友達なんてできなかった。でも、あまねくんがここに来て、この傷があって、この子なら、仲良くできるかもって思った」

「ゆうきくん……」

「これからも、仲良くしてね、あまねくん」

「もちろん!」


 ゆうきとあまねは抱き合った。

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