ロマンスの街

夕方、終業を告げるベルが鳴る

こんなにも1日が終わるのは早かったか

優しいベルの音が止まったら

今度は僕の鼓動が大きく鳴り響く


今日こそ僕の思いを君に伝えたい


街へいこう、何も持たなくていい

その手には僕の手だけ握っていてよ


君といる時間はすぐに過ぎてしまう

だから気づけば太陽は無くなって

星の下で僕らは2人きり


今夜はロマンチックだなんて

格好つけてみても街灯の灯りは

容赦なく僕の紅潮した頬を照らし出す


それに気づいて笑う君の顔を見て

また一段と頬が熱くなる


この街は僕の味方になってくれるみたい

だけど臆病な僕はもう少しだけ時間が欲しい


坂道を辿って街を進む

僅かな不安に震えるその手を

優しく、されど精一杯握って離さない

大丈夫だよと言い聞かせた相手は

君にではなく僕だったのかもしれない


この街にようやく夜がやってくる

さまざまな色のネオンが街を照らす

都会には不釣り合いな観覧車の

綺麗なイルミネーションの下でなら

僕の顔色なんてわからないだろうから

ようやく言える準備ができたよ


君にときめいてるって


街が喝采をあげるように

色とりどりに微笑んでいるみたい

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