第45話

俺はいつも通り、朝起きてセツナを見送り、セツナを連れて行ったシズカをエントランスで待つ


「リーダー」

「ん?」


いつもと違うところがあるとすればカリナが一緒に待っていることだ


「私は何すればいいの?」

「特にすることはないなー」

「昨日シズカにずっと居候でいるなら、娼館に売り払うって言われたのよ!?なんか仕事やらせてよー」


流石に娼館に売り払われるってことはないだろうよ

多分


「じゃあ、ゲート達探してきてくれ」

「あ・・・それまじで言ってる?人口2億人の中から本当に見つかると?」

「一応、フライの手がかりというか餌は用意したんだが・・・」


俺は鞄の奥に隠してある例の本を取り出そうとするとカリナは俺の腕を掴んでくる


「それって例のアレ?」

「多分そうだ」

「リーダー。倫理的に考えてそれを女の子に持たせるってどうおもう?」


カリナは全てを察したような表情で俺に聞いてくるのを無視して、それを引っ張り出そうとするが


カリナが押し留めてくる


「倫理なんてクソ喰らえだ。俺はこんなもの持っていたくない。シズカに見つかったらどうすんだ」

「私の心配は考えてくれないの?それを女の子が持ってたら百合を疑われちゃう!私はノーマル!!」


昨日、セツナに言い寄ってたじゃねぇかという言葉を押し込み、腕に力を入れる


それと同時にカリナは出させまいと俺の腕を鞄に押し込む


「お前が仕事が欲しいと言ったんだぞ?発言には気を遣えと何度も言ったはずだ」

「言われてないし、リーダーに言われたくないよ?掌くるっくるじゃん」


俺とカリナの押し問答になり、遂には餌が破れ捨て去られた


「お前・・・やったな」

「リーダーが悪い」


その残骸を散らばらせて、俺らは再びソファに座る


「これちゃんと片付けてよね」

「ハハハッ」

「どうしたの?」

「いやな、もう少し経つとそんな事、気にしてらんなくなるんだと思ったら笑えてきてな」


俺は大きく欠伸をして、流れる雲を眺めて微笑む

それをカリナが不思議そうに見てきた


「・・・ねぇ、リーダーはなんで私達を探してるの?」


カリナは空色の目を煌かせて訪ねてくる


「お前はあいつらに会いたくないか?」

「まぁ、会いたいけど。もう少し経てば会えるんだしそんなに急ぐ必要はないんじゃないのかな?って思ってさ」

「・・・魔術っていう不確定要素があるんだ。無事ではない可能性だってあるんじゃないかって考えただけだ」


・・・ただ会いたいじゃ、駄目なのだろうか

確かに探す必要などない


時間が経ちさえすれば再び会える


やっぱり俺は心のどこかであいつらに・・・


「お待たせしました」


シズカに思考を打ち切られる


「おう。じゃあ行くか」

「あっ、リーダー。ゲートは何とかなるかも。見つかったら連絡する」

「了解」


俺らは転移門で学校へと向かった

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