第27話

ふむ、携帯板とやらが存在するらしい


俺らは三人でデパート来ていた

義賊はいいのか?って知らんそんな奴


今はそんなことより幻のアイテムだ


「あの今じゃなきゃいけないのですか?」


シズカが俺も少し思ったことを聞いてくる

思い立ったらすぐ実行


それが俺のポリシー


まぁ、やるべきことは山程あるけど

優先すべきはその山自体なんだけど

今は忘れよう


前回は、携帯板なんてものはなかったからな


何やら空中に板を出せるらしい


そんな空想上のものであったはずのそれが今ここにある

買わない選択肢がどこにある


魔術もいいところあるじゃないか


「お子さんのも含めて2点で185240円です」

「わかった」


俺は財布から20万を出して渡し、お釣りはいらないと断る


「これだから、貴族は」

「ん?どうした?」

「いえ、ではプランの説明を・・・」


長くなりそうなので、俺は断る


「ああ、面倒臭いから一番高いので頼む」


高いのにハズレはないからな

どうせ、家のお金だ

大量にお金を使ってクソ親父を困らせたい気持ちはあるが、使い道が思いつかない


こういうところでばんばん使ってくのが1番の嫌がらせだよな


「はぁ、では、このプランを」

「じゃあ、頼む」

「・・・・では、ここに血を一滴垂らしてください」


俺は渡された針を眺める

こういう地味に痛いの苦手なんだよ


しかも、力加減が必要と来た

そんなまどろっこしいことしないで手を撃ち抜いた方がマシだ


まぁ、そういうわけにもいかないので、指に針を通して魔法陣のような紙に血を垂らす


「あっ」


どうやら、力加減をミスったらしい

血が止まらない


「に、兄さん。これ大丈夫なの?」

「わからん」


なにやら店員が焦っている


「なんで、そんなにあなた達は平然そうな顔してるんですか」

「若。回復魔術です」


シズカが俺の手を掴み、魔術を行使する


「ありがとう」

「従者の方も何でそんなに冷静なんですか」

「若のイレギュラーは慣れていますので」


俺達はお金を置いて、外に出る


さっそく使うか

視界の右下に現れたプレゼントボックスのアイコンを2度叩く


すると


「おお・・・お?」


視界に妖精?っぽい少女がくすくすと笑っていた


「兄さん。なんか妖精が見えるんだけど」

「ああ、俺もだ」


俺とセツナはしばらく首を傾げていたが

何かを読んでいたシズカが口を開く


「オプションですね。若もセツナ様も同じプランを選んでいたので。へぇ・・・最新のAIですか。あっ、その妖精に話しかけると色々できるみたいですよ。人格まで再現を・・・」


シズカは、説明書を読み込むことに集中してしまっている

セツナは、もうすでに妖精と話し始めてしまった


妖精が目の前で待っていて、鬱陶しく感じ

ポイと手で払うと

「わーっ」と言って、プレゼントボックスのアイコンに戻ってしまった


・・・板が良かった



俺は二人の気が済むまで、ホールのソファーに腰をかけようと思っていたら、人にぶつかる


「あっごめん」

「あ、いえ、こっちこそ」


小さい少女が一人で頭を抱えていた


「迷子か?・・・って、カリナ?!」

「え?あ、お兄さん」


んー。まだその呼び方慣れない


「どうしたんだ?」

「ご、ごめんなさいぃぃぃいーーー」


落とした《狐面》を拾い

怯えるようにカリナが逃げていこうとするがその手を掴む


珍しいなこいつが怯えるなんて

自分の体より何十倍も大きい魔獣に立ち向かうくらい勇敢

というより、こいつ自体が勇敢そのものみたいな存在だったのに


昔は違ったのか?

まぁ、人は結構変わる生き物だしな


いや、いやいやいや

おかしいだろう


俺にビビる要素ないだろう

さっき会って気軽に話した仲だぞ?


たかが数時間で怯えるわけないだろう


「どうした?」

「お兄さんと話したら、お母さんに怒られるの。離して」


周りに誘拐?などと言われるが俺は離さない

シズカがその様子を見て近づいてくる


「どうしました?」

「ああ。知り合いなんだけど、ちょっと様子がおかしくてな」


カリナを腕ごと持ち上げるが、それでも尚暴れ続ける


「側から見たら、誘拐犯の何者でもないですよ?」

「大丈夫大丈夫。ジャッチメントの方にも顔は通ってるはずだから」

「世間体の話です」


カリナが暴れるたび、アザがちらちらと見える

虐待か


カリナは俺の手を噛みついた

俺は思わず離してしまい、カリナは一目散に逃げてしまった


お母さんと言っていた

怒りが湧いてくるが、そいつの顔を知らない


何もできない無力さを感じる


それに、さっきの狐面・・・・

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