第18話

エントランスのソファーでセツナが待っていた


「ただいま」

「おかえり」


俺はセツナの頭を撫でて、手を繋ぐ

エレベーターのボタンを押してエレベーターを待つ


「兄さん。部屋に帰ったら話したいことがあるの」

「ん?ここじゃダメなのか?」

「うん」


俺はエレベーターに乗り込み五階のボタンを押す


セツナの神妙そうな顔を見て、学校で何かあったのか心配になる


エレベーターの扉が開き、廊下を歩く


そして、部屋のドアを開けると

セツナはそこで震えながら立ち止まる


「兄さん。明日から部屋を別にしよう?」

「ん?別にいいが。なんかあったか?」


セツナは、歩いて先に入る俺についてくる

俺は椅子に座り荷物を置くと向かいの椅子にセツナが座る


「部屋は別になるけどさ、別に一人前とかになったわけじゃないからね?」

「ん?そうか」


どうしたのだろうか

セツナが部屋を別にしてくれと頼んだ日はもう少し先だった気がする


昨日のことがなにか関係しているのか?


「あのね、実は私昨日、夢・・・」


セツナがそう言いかけた時、部屋の電話が鳴る


「すまん。セツナ少し待ってくれ」


俺は部屋の受話器を取り、耳に当てるとクソ親父の声がする


「もしもし」

『調子はどうだー?マサト』


一度、どうしようもなく憎くて殺した男の軽い声が聞こえる


「普通だよ」


俺は震える声帯を整えて答える


『そうか?あぁ、明日いつでもいいから俺のところに来い。お前にやらせたいことがある』


ついに来た

最初の脳手術


「・・・いや、今から行く」

『ん?あー。まぁ大丈夫か。いいぞ?』


俺はそういい受話器を戻す


そして、セツナの向かいの椅子に俺は座る


「ごめん。続けてくれ」

「い、いいよ。なんでもない。たださ、この家を出て行くなら私も連れてって欲しいなって」

「ん?いいぞ?」


セツナはパッと明るい顔をして、立ち上がる


「でも、今日はダメだ」


すると、セツナは悲しそうな顔をする


「今日は、親父のところ行ってくるからな。誰も連れて行けないんだ」


セツナはホッとしたような心配したような顔をして座り込む


「じゃ、行ってくるな」

「え?もう?」

「荷物置きにきただけだからな。セツナはエントランスで待ってなくていいぞ?いつ帰ってくるかわからないし」


俺がセツナの頭を撫でて、外に出ようとすると

セツナは俺の手を掴む


「私ずっと待ってるから」

「ん?別にいいが。セツナお前、今日学校で宿題出たろ?やんなくていいのか?」

「終わらした」


すごいなこの天才少女


俺はセツナの頭をグリグリと撫でる


「じゃ、行ってくるな」


俺は隠してあった拳銃を胸ポケットに入れて、ドアを開ける


俺が外に出ると、珍しくちょっと怒り顔のシズカがいた


「あの、私若が更衣室から出てくるの待ってました」

「え?あ、ごめん。あー、とりあえず、行ってくるな?手が空いたらセツナのこと頼むぞ?」


俺はそう言って、シズカを横切りエレベーターに乗り込み、中央の塔の前に立つ


すると、塔のスイッチは押されたのか、何枚もの壁が開いて行く


俺は、中に入ると壁が閉まり地面が上がる


懐かしい光景だ

最初見た時は滅茶苦茶はしゃいだものだ


秘密基地みたいとかいってワクワクしてたな


でも、今は・・・

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