第6話

 確か。俺の記憶が正しかったら校門に入った瞬間に部活の勧誘を猛烈に受けるんだったよな


「遅いです。意地くらい張ったらどうですか?」


 シズカがそう言い、半歩後ろから歩いてくる

 こいつ、側近のくせにめちゃくちゃ毒吐いてくるんだよなぁ


「お前が頑固すぎるだけだよ」


 俺は校門の目の前を横切り、進む


「どこに行くつもりですか?」

「裏門」

「入学式の日に裏門から入る人、普通います?」


 確かにと思いながら、学校沿いを歩く


 普通は、校門から期待を胸に入るのが鉄板だ

しかし、


「ほら、裏門でよかっただろ?」

「・・・」


 俺らが、裏門から入ると校門で部活勧誘の生徒を大勢見つけた


 あそこから入っていたらどれだけ面倒なことになっていたかと思うと

 同時にここが一応、過去であることを確信させられる


「なんで・・・、わかったんですか?」

「ん?勘。そんなことより行くぞ」

「はい」


 遅刻気味の俺らは、小走りで体育館へと向かう


 そこには担任となるかもしれない教師が9人並んでいて、俺が入ると同時に頭を下げてくる


「「「「「「「「「マサト様。お待ちしておりました」」」」」」」」」


 俺は、手で挨拶してクラス分けの紙をもらう

 どのクラスかはもうわかっているが一応、一組の紙に俺の名前があることを確認する。


 シズカも確か同じクラスだったよな


「あんなに歓迎しなくてもいいのにな」

「若は、御三家の御子息ですから」


 御三家

俺が前回、こいつらにかなり踊らされた


 体の改造手術

 人体実験

 人間の品種改良


 色々な犯罪に手を出していてるが権力だけは馬鹿みたいにあって捕まらない

ゲームでいうところのラスボスで悪役な家柄


 俺は最終的に色々嫌になって家を出た

その時、セツナを置いて行ってしまったことを強く後悔している


 御三家など、俺に取っては汚名に等しかった


「・・・・そうだな。行くぞ」


 俺らは、体育館の中に入ると記憶どおり外から見た体育館の敷居より広い空間が広がっていた

 騒がしい音が体育館の中で響いている


 新しい生活に胸を躍らせた新入生が駄弁っているのだろう


 俺らは組ごとに分かれて並べられた椅子に座る


「隣じゃないのか?護衛も兼ねてるのに?」


 シズカが違う席に座ろうとしたのでそう煽る


「・・・そうですね」

「嫌なら別にいいぞ?」

「別に嫌ではありません」


 シズカは、俺の隣に座った

こりゃ、相当嫌われたなと思い苦笑する


 シズカが下手に他の人と仲良くなれば何かに巻き込まれる可能性がある


 周りの男達がシズカを狙っているのがすぐにわかるので、近づけるのは得策ではない


 俺は、周りの男達に睨みを効かせシズカから距離を取らせる


 すると、舌打ち、妬み、悪口

散々裏で聞こえたがそれを全て無視する


 それらは、ブザーのような音と共にかき消される


 それと同時にあたりは暗闇に包まれた


 それを不安に思ったのか、当たりが再びざわめくが、スポットライトが司会者に当たり静寂が訪れる


「これから、卒・・・入学式を始めます。式辞、校長先生からのお話です。」


 あの人今、卒業式って言いかけたな・・・

肩張っていたためか、ドッと笑いが起きる


 顔を真っ赤にする司会者のスポットライトが消え

体育館舞台表にスポットライトが当たる


「はい、どうも、校長です。皆さん、まずは入学おめでとう。卒業はまだ早いぞ?」


 と校長がマイクを持って出てきた

小柄だができる女って感じのオーラをしている


「今年は豊作と聞いている。御三家のお子さんもいるようで、有能な者たちがこの高校に入学してくれたことを嬉しく思う」


 校長がそう言った瞬間、極度の睡魔。

夢の代償に襲われる

俺は、寝まいと体を痛みつける


 戦場でこの手の能力を持つ化け物がいた

というより、こういう睡魔はタイムリープする直前にも耐えたことがある


 左腕を撃ちつけるという荒技を使って目を覚ましたが、今回はそれができないためそれに対抗するためのツボを押す


 しかし、変わらず睡魔は襲いかかる


 あの人の話は催眠術か?

効果絶大すぎるだろ


そして、


「くっそ・・・」


 俺は眠りに落ちた

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