第10話 剛腕と大器晩成
《錯覚》で自分のステータスをいじる事に成功した俺は余裕を取り戻し目の前の爺と対面する。
そして、もう1つの検証の為に動き出す。
「不躾で悪いんですけど《鑑定》ってどういう風に発動させるのですか?」
ここで爺に対して「《鑑定》の発動方法を教えたくなる」と錯覚させる。
「そうだな。まずは両目に魔力を集中させ、鑑定したい対象を目の前に捉えて発動させる。《鑑定》のスキルを持っていないものだとただ遠くのものが見える程度にしかならんが、《鑑定》のスキルを持つものがすると相手のステータスを見ることが出来る。そして今、君のステータスを見たところ何も異常はなかったが、残念ながらスキルは見当たらんかった」
ご丁寧にどうも。俺は体の中にある魔力を目に集めて自分に対して「俺は《鑑定》のスキルを持っている」と錯覚させる。さぁ果たしてどうなるかな。
魔力の練り方や認識の仕方は魔の森の戦闘時に色々試したからな。自分のステータスに魔法の欄があったら検証しない訳にはいかないだろ。
『スキル《鑑定》を獲得しました。』
___クハッ。
おいおいマジかよ。諦め半分で試してみたけどこりゃとんでもない事がわかったな。ここで《鑑定》のスキルを獲得出来るのはデカい。そして何よりスキルをこれからも新たに手に入れれるとはな。
やはりこのスキル選んでよかったぜ。
「そうですか。わかりました。ありがとうございます」
さっそく目の前の爺に《鑑定》を発動させる
『オズワルド=バトラー』男性
種族名:人間 職業:鑑定士 犯罪歴:なし
Lv:35
HP:800
MP:950
攻撃:670
防御:520
魔法:700
速さ:90
知能:300
器用:250
スキル
《鑑定》対象のステータスを見れる
周りの銀鎧達にも鑑定したがLvはみな10代でステータスも酷いしスキルもなかった。
さっき閣下とか言われてたしこの爺、人間領の中だと結構強いし偉いのかもな。
まぁ、あんたには感謝してるぜ。オズワルドさんよ。
「これで入国審査は終わりだ。冒険者ギルドに行ってちゃんと再発行してもらうようにな」
「はい。わかりました。失礼します」
そうして俺は爺の横をペコペコしながら通り銀鎧達にも見られながら真っ黒の部屋を出ていった。
「あっ!ギマンさん!遅かったですね。大丈夫でした?」
「リーシャが大丈夫かな?大丈夫かな?ってずっと言ってくるもんだから大変だったぞ」
部屋から出た俺を迎えたのは門の前で雑談して仲を深めた兄妹だった。
リーシャはパァッと明るい表情で出迎えてくれ、カイルはどこかしんどそうな表情を浮かべていた。
そう言えばこの2人に錯覚かけておいてあったの忘れてたな。
「悪いな。冒険者カードを落としたと言ったら鑑定までさせられて色々と手こずっていた」
「鑑定までさせられたのか...そいつはまたご苦労なこったな。オズワルドさん怖いよなー。やっぱり最前線で戦った事ある騎士様はオーラが違うよな」
カイルは顎髭を弄りながら言う。
へぇあのステータスで最前線戦ってたのか、やはり俺のステータスがバレないで良かった。
「ギマンさんも冒険者だったんですね!良ければこれから私達依頼の報告をしに行くので一緒に行きませんか?」
リーシャちゃんがその実った胸を上下に揺らしながらこちらに来るもんだから圧力が半端ではなく、どっちみち冒険者にはなる予定だったから人間領を見て回りながら案内してもらおうと思った。
決して胸に釣られたのではない。そうだ。俺は冷静だ。
「いいぜ。一緒に行こう」
「やった!ありがとうございます」
ピョンピョン跳ねるリーシャちゃんを見るとこちらがありがとうございますと言いたくなるような気分だった。
兄妹と冒険者ギルドに行く道すがら周りを見渡すと、人間領は中世ヨーロッパ風の街並みで多種多様な種族が横断しており、人は多いが雰囲気はどんよりとしていた。
まぁそりゃそうだよな。魔族にここまで侵攻されて残された土地がもうないってのに明るくワイワイなんか出来ねーよな。
そして1番目を引いたのは奥に
ちなみに2人のステータスも鑑定してみるとこうだった。
『カイル』男性
種族名:人間 職業:冒険者 犯罪歴: なし
Lv:8
HP:120
MP:40
攻撃:72
防御:60
魔法:20
速さ:55
知能:40
器用:10
スキル
《剛腕》10秒間だけ攻撃が100倍になる。CT3日
『リーシャ』女性 B:90 U:58 H:86
種族名:人間 職業:冒険者 犯罪歴:なし 好感度:89
Lv:6
HP:85
MP:120
攻撃:40
防御:30
魔法:200
速さ:28
知能:80
器用:70
スキル
《大器晩成》徐々に大成する。
《剛腕》どこかで聞いた事があると思ったらあの筋肉浮気神がオススメしてたスキルだな。
確かに破壊力抜群だ。このスキルの存在を多分カイルは知らないだろうな。知ってたら今頃こんな所におらず魔族との切り札的存在になっているからな。それだけ100倍と言うのは大きい。使ったら俺の約3倍だからな。
そして、リーシャちゃん。物凄い大きいね。《大器晩成》でこれからも大きくなっちゃうの?なんて馬鹿な事を想像するくらいには鑑定の素晴らしさに心をうたれている俺だった。
あと好感度89ってどうなんだ?まぁ悪くは無い数字だとは思う。
あの爺あんな不遜な顔しておきながら裏ではこんな事に鑑定を悪用してたのかよ。許されんな。....ありがとう。
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