第21話 狂い

気狂いが増していく。

私の頭がいかれてる。

狂い咲きした梅の花が落ちる。

私のスピーカーがいかれてる。

気狂いが増していく。

冬になったから増していく。


もはや、もう いかれてる。


君が居なかったらどんなにいいだろうと思いながら、私は鏡を叩き割りたくなる。

実際にはやらない。

実際には気狂いなのは隠している。

割れないまま力を込めた拳で戦うことなく耐え忍び、見てみぬふりを続ける。

それが日常である。


秘めたる怒りと情欲を掻き乱して気狂いになってしまった。

私は狂っている。

あの梅の花が落ちる時、雪が降っていたらいいなあと思いながら君を叩きたくなる。

君を叩かない日々が異常に思えてくる。

こんなに殴りたいものがあるのに殴らない方がいかれてるんじゃないか。

私は気狂いが増していく。


もはや、もう、終わらない日々が異常なのだ。


気狂いが増していく。

狂い咲きした梅の木を切り倒したくなる。

実際にはやらない。

実際には君にありがとうと言っている。

君は感謝することを忘れながら過ごしている。私はそれに気づかない。気づかないふりをして日常をやり過ごす。


もはや、もう、君を愛しているのか憎んでいるのかわからなくなる。


気狂いが、増していく。


それが普通というやつか。

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