第23話
𖤣𖥧𖥣。𖤣𖥧𖥣。
嘘だろ……聞きたくない!聞きたくない!
体が美妃奈の次の言葉を拒否する。
ー主治医の欄だよ
そう伝えたあとの美妃奈はどこか割り切ったように早口でまくし立てて、自身の状態を話してくれた。
それはどこか違う世界の話のようで。
美妃奈の余命がのこり1ヶ月だなんてとても信じられなかった。
まくし立てられている途中。
涙がこぼれそうにになって思わず上をむくと、感情が抜け落ちたかのような瞳で虚ろに話し続けている美妃奈の姿が見えた。
もう何もかも諦めたかのようで。
そんな美妃奈が痛々しすぎて。
涙を流すのも忘れて、僕は美妃奈にこんな出来もしない提案をもちかけていた。
今更夢を叶えようだなんて。
自分でもバカげた話だとわかっている
けど、けど……!
僕たちだけ夢を叶えられないなんて、理不尽じゃないか……
それなら最後の1ヶ月くらい。
それがたとえ叶わない夢でも、見させてあげたい。
それが美妃奈にとって最初で最後の特別な思い出になるように。
美妃奈は最初は叶わない夢を追うことに抵抗を持っていたようだが、最後にはありがと!っといって笑ってくれた。
いつかのようなひまわりのような晴れやかな笑顔で。
ひとしきり笑ったあと、自分で泣いていたことに驚き美妃奈にバレないように今更かもしれないが袖口でそっと涙を拭った。
その後……美妃奈から持ちかけられた提案は突拍子も無いものだった。
くるりと振り返った美妃奈がなんでもない事のように病室に飾ってあったサクラソウを1本差し出しながら言う。
「ねぇ、はるくん。私、最後まで夢を追い続ける。だから……私と付き合ってよ」
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