第4話
「おーい!はるるーん!」
美妃奈が僕の下駄箱の前で飛び跳ねて手を振ってる。
かわ、、うん。なんでもない。
美妃奈がこの調子なので、転校初日でありもしない噂が立てられている。
美妃奈の学園生活に支障が出ないだろうか?
けど、嫌では……ない。
「なに?美妃奈」
「んとね!えと、一緒に帰ろ?」
「あぁ、別にいいけどーって!美妃奈の家ってどこ?」
「ほえっ?はるるん自分の家忘れちゃったの?」
「え?いやだから、美妃奈の家!」
「だからー、はるるんの家だってば!」
ん?それはつまり……?
「ママとパパは東京に残って仕事するから、私だけ戻ってきたって言わなかったっけー?」
「初耳だよ!」
「それでー、一人暮らしは不安だから春翔くんちで過ごせばいいじゃないかってパパが提案して。はるるんちのパパママがおっけー!って言ったからこーなったんだけど?」
え!全然話が見えてこない。
なにより僕の両親、了解取らないで勝手に2人暮らし了解したの!?
べ、べつに嫌じゃない、、ですけど!?
ブーっとスマホがバイブする。
美妃奈に許可をとってスマホを確認すると両親からサープラーイズ!のメッセージと共にクマがクラッカーをもってるスタンプが3つも送られてきた。
この親から産まれてきたって思いたくないな……
「え、じゃあ美妃奈、荷物とかどうするの?」
「もーはこんであるよ?今日中には終わるみたい。」
「い、いや。部屋とかは?」
「えー?下に1部屋あったじゃん!」
「だ、だね。じゃあ、そろそろ一緒に帰るか。」
とりあえずもう、諦めることにした。
別に……嬉しいとかじゃないしっ!!
「うんっ!」
道中2人で他愛もない話をしたり、お互い変わったねーと笑いあったりした。10年なんて月日を感じさせないくらい。あの頃に戻ったみたいで夢のようなひと時だった。
だから、だから。こんなこと言い訳にすらならないかもしれないけれど。
僕はあの時みーなが浮かべた困ったような悲しげな笑みを見逃してしまったんだ。
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