灯りと灯りへの想い 

暗闇は彼の心の中を襲う

それは収監所という彼にとってのこれから始まる舞台だった

舞台とは何を意味するのだろうか

それは更なる不安と恐怖の場所なのだろうか


和明の上司は彼にに告げる

いずれ死刑囚が集まると思われる行先の様子を見に行くことを

しかし、和明はいずれ起こることを理解出来ていない


収監室にはうめき声が響く

それは僕にとって凶器となって響いた

うめき声はいずれ死へのうめき声になるのだろう

しかし、そこにはかすかな灯が見えたような気がした


通路の灯りは僕を導く

女性の灯りを追い求める気持ちが僕を誘ったのだろうか


灯りは僕を照らしてくれるのだろうか

灯りは僕にとっての希望という灯りなのだろうか

僕は灯りを追い求めるすべしかなかない

いや、灯りが僕を呼んでいたのかもしれなかった


獣のように見える僕は獣のがいる道を進むしか他に道はない

それが僕の罪悪感と後悔いう思いを償うために


許されないと思いながらも僕は道のりを進んだ

灯りを求めて


そこに一筋の灯りが僕を照らしてきた

灯りは小さな小窓から揺れ動いていた

しかし、僕に気づかせる時はさほどなかった

いや、全くなかったのだ



そこにいたのはあの小川にいたホタルの一筋の灯りではなないか



なぜここに灯りがあるのだろうか

ホタルはあの時に消えて行ってしまったではないか

偶然なのだろうか奇跡なのだろうか

それは奇跡であろうと悲しい奇跡にしかならないではないか


僕は思う

これは奇跡ではない


僕の夢か幻なのであってほしかった

しかし、灯りは僕を呼んでいた

僕と灯りへの壁が消えうせるのは時間を要しない


灯りは僕の胸の中にある心にともしてくれた

灯りは灯りの中の灯りで僕を照らしてくれる

僕の罪悪感を少しでも温めるかのように


僕には灯りがあるのだろうか

灯りを灯りでともしてあげるだけの

しかし灯りは悲しい灯りでしかなかった

自らの愚かな事があり得るという事が理解できるとともに

手紙の意味が何を指すかという事が理解できるのには時間は要しなかったが

灯りを僕の胸に受け入れる時は要した

それはためらいだったのだろうか

罪悪感という思いを灯りは理解してくれていた


灯りは灯りを灯し続けるのに精いっぱいであることは容易にわかる

僕は何をすべきなのだろうか

静けさの中に舞う灯りが転々と存在し始めた

それは目の前にいる灯りではない

過去の記憶にある灯りではないか

再び僕を灯してくれるとは思わなかった

突然に僕と灯りの周りにホタルという名の灯りが僕を灯りで照らす


僕はその灯りを永遠に灯したいという思いに包まれる

そこには静かなるホタルが鳴いていた

どのような理由で鳴いていたのだろうか

灯りを僕は強く抱きしめる

そこには理由はない

僕はささやいた

灯りもささやいた

肌の温もりの中に二人は想いを探していた

永遠という灯りはいつかは消えるという理由を胸に秘め

時は静かに幕を閉じる



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