第22話 恋のトライアングル?の予感

2004年4月22日 

 桃園中央高校1年8組は普通科の中の特殊学級「芸術コース」、美術専攻28人と書道専攻12人で計40人のクラスのうち、男子は美術専攻の僅か3人だけ~とそのうちの1人である山鹿麻矢が父・史矢に説明すると「すげっ、ハーレムやん、羨ましい」と目をハートする父親だったが、入学して2週間もすると「そうでもないし」との感想で意外とそっけない。

 昼休みは昼食の時間となり、林原達郎は学食に行くらしく「弁当あるんだ」と麻矢を見て言うと、市村雅治には声をかけずに行ってしまった。市村も無言で弁当を開いたようなので、麻矢も席は動かずに母・麻郁が早朝から作ってくれた弁当を広げた。

 「山鹿くん、一緒に食べよっ」と空いた右隣の席に来たのが通常は左後ろの席の森本さん。「じゃワタシも、いいでしょ麻衣子」と来たのが麻矢の後ろの席の村田有紗さん。どうも受験の時をきっかけに打ち解けたようで、森本さんと村田さんは既に「麻衣子」「有紗」の呼び合う間柄らしい。

 デスクを少しずつずらして真ん中が三角形になるようにして食事を始め、ありがちな会話が始まった。「山鹿君は八原中でしょ、自己紹介の時に」と森本麻衣子が発したのに回答する前に「アタシは白原中、隣でしょ」と言いながらパッグからサンドイッチを取り出した。村田さんは「三島中なの、だから黒崎までは麻衣子と一緒なのよね。それじゃ山鹿君と麻衣子はバスも一緒なんじゃないの」と問われたので「それはどうかな、白原中ならバスは馬場線じゃないの」と森本さんに視線を移す麻矢。「そうなんだけど…」と言いながら視線を麻矢に合わせる麻衣子。その後も会話がけっこう弾んで、部活からの帰路は3人で黒崎まで一緒することになった。

 森本麻衣子の動きが早かったため、女子1人の動きが止まってしまった。麻矢と同じ八原中の美術部から一般入試でこの席を勝ち取った山本由香里だ。そのまま麻矢の右後ろでお弁当を広げて3人の会話を耳に入れながら~ワタシもこの3人と一緒に帰るようにしようかな~と考えていた。

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