集まる仲間たち

第7話 「セロリィ嬢の性癖」

「パクティ。今度の奴隷どれいのバジルはどう? ちゃんとやってる?」


「ええ、セロリィお嬢様。従順に働いていますわよ。前にいた生意気なレイに比べたら本当に良い娘です」


「本当に従順なの?」


「ええ、私達に何をされても文句ひとつ言いません。ひたすら従順に仕えてくれています」


「そうなんだ。うふふふふ……」


 美しいブロンドヘアーに澄んだブルーの瞳を持つセロリィ嬢は、母親に似て美しいと言っても差支えはない。

 奴隷に付いて何か思いついたのか、急に口の端が吊り上がり、その美しい顔が歪んだ。


「いつもあんた達を楽しませてるんだから、たまには私にも楽しませなさいよ」


「はい、もちろんでございます。治癒ちゆ魔法を掛けながらいたぶられますか?」


「そんな事は大して面白く無いわ。私が前から言っている事をさせなさい」


「前から? ああ、あの事ですね。良いですね。準備させましょう」


「うふふふ。楽しみだわ」


 口元を歪ませながら微笑むセロリィ嬢とパクティ。

 その目には残忍な光が宿っていた。


 ----


 人気の無い洞窟の中を、女性冒険者達が歩みを進めている。

 今日はパクティのパーティメンバーの五人に加え、場違いな薄桃色の豪奢ごうしゃな服に身を包むセロリィ嬢が同行していた。

 表向きはギルド所属のパーティの視察という事になっている。


「今日はバジルが先頭を行くんだ。大丈夫。私たちが完璧にフォローしてやるから安心しな」


「このダンジョンには、弱いモンスターしか出ないから安心しろ。お前でも楽々倒せる相手だぞ」


「は、はい」


「バジル。今日はセロリィお嬢様がご一緒だから、お前がしっかりと頑張っている姿を見せるんだよ!」


「は、はい。頑張ります」


「緊張をほぐすドリンクだ。飲んでおきな」


「あ、ありがとうございます」


 パクティからピンク色の液体が入った小瓶を渡されたバジルは、その液体を一気に飲み干した……。


 ----


 短剣を両手で握りしめたバジルが、緊張した面持ちで先頭を歩いている。

 その後ろを、四人の女冒険者がセロリィ嬢を守るようについて行く。

 彼女達の言う通り、この辺りには強いモンスターは居ない。どちらかというと初心者向けの場所だ。

 パクティのパーティメンバーの強さならば、片目をつぶっていても倒せる相手しか居ない。


「バジル怖いかい?」


「いえ、大丈夫です」


「いいかい。モンスターが現れたら一気に切りかかって、出来るだけ沢山のモンスターをお前が倒すんだよ。私達はお前に華を持たせる為に、後ろに控えて活躍を見ていてやるからな」


「ありがとうございます。セロリィお嬢様に喜んで頂けるように頑張ります」


 しばらくすると、パクティ達は歩みを緩めバジルを先行させた。モンスターの気配を感じたからだ。

 その事をセロリィ嬢に耳打ちすると、彼女の綺麗な顔が上気し始めて息が荒くなる。

 そして、やや広めの場所に足を踏み入れると、バジルの前に数体のモンスターが姿を現した。

 現れたのは最弱と言われるゴブリンだ。


「バジル行け!」


 パクティの号令に、弾かれた様にバジルがモンスターの中に駆け込んで行く。

 だが、最弱のモンスターとはいえ、戦闘経験が殆ど無い貧弱なバジルには強敵だった。

 切りつけようとした短剣は弾き飛ばされ。直ぐに飛び掛かって来たゴブリン達に、いとも簡単に組み伏せられてしまったのだ。

 ゴブリン達はバジルを地面へと押さえつけながら、しばらくはパクティ達を警戒していた様だが、彼女達が戦う姿勢を一切見せない事に気が付くと、たぎる欲望を行動に移し始めた……。


 バジルの粗末な貫頭衣は引き破られ、彼女が身に付けている物は全て剥ぎ取られた。

 直後にゴブリン達は我先にと裸のバジルに襲い掛かる。その目的は生殖行為。 


「嫌ー!」


 今まで恐怖で声が出なかったバジルが叫んだが、その声は洞窟の壁にむなしく響くだけだった。

 最初のゴブリンがバジルの上で腰を振り始め、生殖行為が終わる度に他のゴブリンが我先にと行為に至る。

 洞窟の奥からは、めすの匂いに釣られて、次々と雄のゴブリンが湧き出て来ていた。


 バジルは必死に抵抗していたが、しばらくすると口からいやらしい嬌声きょうせいが漏れ始める。


「ははは。飲ませた媚薬びやくの効果が出始めたね!」


「見てみなよ、あの嬉しそうな顔!」


「インキュバスとの一晩より快感なのかもよ!」


 パクティ達はゴブリンとバジルの行為が、愉快で堪らないと言った感じで眺めている。


「ふふふ。最高よ! 下賤の者が大勢のモンスターに凌辱りょうじょくされるあの姿。最高よ! 私はこの姿が見たかったの! ああ、堪らない……」


 セロリィ嬢は興奮で顔が赤くなり、口の端からはよだれが垂れ出している。

 小汚いモンスターどもに凌辱されるバジルの姿に興奮が抑えきれず、思わずスカートの隙間から手を入れて自慰行為にふけり始めた。




 湧き出て来たゴブリンの殆どが生殖行為を終え、セロリィ嬢が性癖せいへきをたっぷりと満喫した頃。パクティ達の手によって、バジルはゴブリンの群れから救いだされた。

 バジルに縋りつくゴブリンの群れから引きずり出された時は、まだ一匹繋がったままの状態。

 その姿が愉快だったのか、パクティ達は生殖行為が終わるまで、ニヤニヤとしながら待っていた。


 パクティ達に囲まれながら必死に腰を振っていたゴブリンは、目的を達すると一目散に逃げて行った。

 バジルは過剰な媚薬を摂取させられた為か、恍惚こうこつとした表情のまま目線を彷徨さまよわせている。


「バジル。セロリィお嬢様に、最高の姿が見せられて良かったな」


「男にあんなに群がって貰えるなんて。あんたは幸せね」


 ドリアとピマンが笑いながらバジルの体を水系魔法で洗い流し、治癒魔法で媚薬に溺れた状態を回復させる。

 引き破られて使い物にならなくなった貫頭衣の代わりに、ぼろ布一枚と言う粗末な服を着せて立ち上がらせた。


「バジル。セロリィお嬢様からお褒めの言葉を頂いたよ。良かったな!」


 まだ放心状態のバジルを、女冒険者達の嘲笑が包んだ……。




 セロリィ嬢が父親にねだって買い漁った奴隷の娘達は、彼女の性癖を満足させる為に、幾度となくこの様な目に遭わされている。

 セロリィ嬢は、父親である町長兼ギルドマスターの手厚い保護と豊富な資金援助を受けながら、パクティ達と共に我が世の春を謳歌おうかしていた。

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