第4話

「流夜、朝だよ。起きて。」

綺麗な声が聞こえる。

「ああ、分かったよ…。万莉…。」

目を開ける。

「あ、やっと起きた。」

すると、その綺麗な声を裏切らない、絶世の美少女がいるわけで。

「もう7時だよ。学校の用意しなきゃ駄目だよ。」

「もう7時か〜、って、ええっ!ヤバい!!」

ぼうっとしていていた頭が覚醒する。

何も学校が遠いわけではない。学校へは10分で行ける。問題は、7時25分には着席していないといけないこと。そう、着席していなければならないのだ。席に。もちろん、準備は終わらせておかなければならない。

朝ご飯抜きだ…。しょうがない…。

「行ってきます!!」

ダッシュで登校する。6分ほどで学校に着いた。もう、人気のないピロティで靴を履き替え、急ぐ。さっきまで走っていたせいか、足が重たい。だが、ここからが本番だ。最難関の場所。階段。20階まで上がらなければならない。猶予は長くて15分!この学校にはエレベーターというものが存在しない。何でだ、クソ!!休もうとする足を制して、何とか上がる。

教室に入り、荷物を整理したところでチャイムが鳴る。よし、間に合った…!

「流夜、ギリギリセーフだな!」

「はぁ、はあ…、ああ、死ぬかと、思った…。」

「ああ、そういえば、先生が遅いなあ?もしや、お休みかぁ?ラッキー!!」

言われてみれば。いつも誰よりも早く来るこのクラスの担任、星川知里がいない。


星川知里は困惑していた。

「だから駄目ですってば!」

「どうして?」

そう可愛らしく首を傾げる美少女。はぁ、とため息が出る。原因はこの美少女だ。

「規則なんです!!この学校には、在籍している生徒、教師、保護者以外は入れません!!」

「私は流夜の保護者だよ。」

「いや、あなた学生でしょ!!学校はどうしたんですか!?」

「えっ?学生じゃないよ?」

こんな娘が学生じゃないわけないでしょ!!こんなに若いのに。一挙一動が可愛らしくて、思わず殺したくなる!と、若さへの嫉妬をしながら、呆れる。

「はあ…全く、なんの騒ぎだい?」

校長、小林武が駆けつける。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る