詰め込んだ百合たち

闇野ゆかい

第1話放課後の教室で二人きり

放課後の教室、傾いた夕陽が教室をオレンジに染めている。

夏休みに差し掛かる7月中旬、窓を開けっぱなしにしているが夏の熱気が入り込み、風が吹いていても暑い。

私は窓側の席で机にちょこんと浅く座り向かい合う女子──濱部真依をまじまじと見詰めていた。

「ねぇ、近いよ......遥菜」

彼女が視線を逸らしながらそう口にした。

「良いじゃん、誰もいないんだし......しようよ、キス」

キスをしようと誘うが彼女は動揺をみせる。クラスメイトだったりが戻ってくるのを心配しているようだ。

「居ないけど......」

机においている彼女の手に手を重ねながら顔を近付けて、彼女の唇にキスをした。

彼女のうっうぅーっ、と声にもなっていない唸り声が聞こえる。

「はぁはぁ、誰かに見られたらどうすんの?遥菜ってば」

重ねた唇を離し、一歩下がって距離をとった私にそんな言葉を掛けてきた。

「そんな心配しなくても──」

私は恥ずかしそうに頬を紅潮させながらもじもじと体を揺らす彼女に強引に迫りたくなった。

私は彼女のブラウスの下に手を入れ、腹を撫で始めた。

彼女の喘ぎ声が大きくなっていく。

そんな彼女の表情や身体をピクピクさせているの見るのが楽しい。


彼女の全てが愛おしくて、いつまでも愛でていたい私の想い人。

抵抗はされるけれど、流されてくれる。受け入れてくれなくても、流されて一緒に触りあいっこをしてくれる可愛い──濱部真依。


彼女の艶めくミディアムショートの黒髪が靡いた。放課後の教室で二人の秘密である関係を存分に楽しんだ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る