第27話 一日部長?

 ヤバい、マジでヤバい。詰んだ、終わった。マジでこれもうダメでしょ。


 ……俺が絶望しているのには理由がある。いつも通り電車で会社に行けば良かったものを、俺は何故か車で会社に向かったのだ。しかしそれが間違いだった、なんと大渋滞していたのだ。どうやら事故が起こってしまったらしい。その渋滞が解消されず今に至る……という訳だ。


 しっかしどうしたもんかな……これ暫く動かないぞ……これ詰みだよな…。……仕方がない、会社に連絡して俺が会社に着くまで誰かに代わりに俺の仕事をやってもらおう。それしかなさそうだ。




 プルルル、と、会社内に電話音が鳴り響く。どうやら会社の固定電話のようだ。誰だろ、こんな時間にかけてくるなんて。


「あ、電話俺出るっすー」


 俺が受話器を取り、耳の所まで持っていく。


「もしもしー」


「あ、もしもし、虎島です」


 なんと相手はけいちゃんだった。え、どうしてこんな時間に……。何かあったのかな、会社にもまだ来てないし……。


「あ、けい…んん、部長、どうしたんすか?何かあったんすか?」


「それがさ…車で会社行こうと思ったら渋滞にはまっちゃってさ…暫く会社着きそうもなくて」


「あーそれは…。誰かに部長の仕事頼む様っすか?」


「うん、それ言おうと思って電話したんだ」


「うーん…俺でもいいっすけど…」


「蒼哉に無理させたくない」


「もー部長は過保護と言うかなんと言うか…」




「…楽しそうね、あの二人」


「ですね…」


「そういえば幸牙くんは?」


「今日休みみたいです」


 少し遠くで永太と真衣が話す。



 ~2分後~



「…はい、それじゃ気をつけて下さいっす」


「何話してたの?」


 俺が電話を切ると、高瀬奈先輩が近づいてきた。後ろに永太くんも居た。


「部長、今渋滞にはまっちゃったみたいで会社着くの遅れるみたいっす」


「あーそれは可哀想に…」


「んで、部長が来るまで誰かに部長の仕事を代わりにやって欲しいみたいっす」


「よし、一日部長として頑張るぞ」


 なんかめっちゃ先輩乗り気なんですけど。まぁ仕事が務まるなら誰でもいいけど…。


「それじゃ、代わりに先輩がやるということで…」


「部長来ても返しちゃっていいよ、今日の部長はボクだからね」


「先輩、本物の部長に怒られますよ…」


 あ、永太くんがツッコミした……珍しいな。

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