白雪姫のような君

「はんじょう、今日も肌が白くて綺麗だな」

そう囁き、おにやは眠るはんじょうのその常軌を逸した長いアゴに口づけをした。おにやは恋人が1番コンプレックスのある所に最初にキスをする。それは頭でっかちな彼の、心からの優しさからくる愛情表現だった。お前が自分で嫌いな所も含めて俺は丸ごと愛するよ。そう言うといつもはんじょうはくすぐったそうに笑い、悪態をつく。今となってはその言葉すら恋しい。

「白雪姫ならキスで目覚めるんだけどな」

そう寂しそうに呟きおにやは笑った。目前の色白で綺麗な白雪姫は目を覚まさない。スパイギアのクレーバーではんじょうが頭を撃ち抜かれて今日が1ヶ月になる。一命を取り留めるも、意識が戻らない彼の命はこんな小さな生命維持装置に握られているのか。命、そしてプライド。はんじょうの性格を考えると心が締め付けられる。

「悔しいよな、はんじょう。でも、任せて」

はんじょうに自分のサングラスを預けて誓った。

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