第一話

 ありがたいことに、エレベーター式。あれ? エスカレーター式だった、か? にある特別補習。と、先生の宇宙海賊船に搭載されている人工知性体による、詰め込み式スパルタ教育により。

 ――なんとか、四回目の進級ができた。

 先生から、“バカだ、バカだ、バカだ、バカだ”、と。四回連続で、気怠けだるそうにののしられた。人工知性体からは、“ち殺してさしあげますから、そこに立ってなさい”、と。海賊らしい、お説教をされた。

 俺は、

 “あと、あと、進学が楽でいいぞぉー! ”と、社長の口車に乗せられ、て。学校法人、常世とこよ学園に小学校から通っている。

 が、

 社長の楽できるぞぉー! の言葉に、騙され――く、苦行という名の勉学に襲われた。

 なんとかかんとか高等部に進級できてから。あれ、どう考えても社長の都合で、あの学校に入学させられたんじゃ、ねぇ。と、最近、気づいたのであった。

 ――馬鹿ばかだった、やっぱり。

 

 美しい花には棘がある。


 この、ことわざを口にしたどこかの誰かさんは、美しい女性が隠し持つ、恐ろしい一面を体験した人なのだろう。と、思い浮かべることができる。

 現実。

 ウォームビューティー社長、と、クールビューティー先生

 二人の餌食になってしまった――棘で俺は。


 ぁ、話が脱線してしまった。


 あの二人の女性の話は、後々、語ること? 愚痴ることにする。

 話を戻して、と。


 通って――通わされた学校は。結構どころか、かなり古い伝統ある学校である。ぇー、平安時代から存在している、らしい。ちょっとした、千年王国ならぬ、千年学校、だ。

 馬鹿な俺でも真実なら、絶対に歴史の教科書に載っているし、世界文化遺産に登録されている順番は、一桁台になる。

 のだが。

 一般人には、いろいろな事情から、刺激が強すぎて載せられない、と。社長がのたまってた。

 それと、

 常世学園、以外に。【誰時たれどき学園】、【逢魔時おうまがとき学園】、読み方は同じ“とこよがくえん”で、漢字違いの【常夜学園】。

 と、

 その他いろいろと似たような学校が、存在しているらしい。

 嘘だ! 叫びたいだろう。

 俺も、幻談げんたん都市で仕事をしていなかったら。空想小説中毒者だと、診療録カルテに書き記し。処方箋しょほうせんに、日本でもっとも有名な少年漫画雑誌を読んでください。と、記入している。


 

 ことわざで、もう一つ、思い出した。

「事実は小説よりも奇なり。」は、幻談都市に、迷い訪れたの詩人の言葉だと、云われている。

 注意、諸説あり。




 一時的に現実逃避をしたのは。折りたたみ財布に入っている、預かった軍資金では足りず。俺の折りたたみ財布の中に入っている、俺の! 万札を出すことになったから。


「三万九千二百、えん、ね」

「社長から二万円、しか、受け取っていないんですけど。僕」

「ぁー、二十年前の煙草価格で、また、計算してるね。社長さん」


 長生きし過ぎるのも善し悪し、だ。


「四万円、で、お願いします」

「はい。ありがとう、ね」


 このご時世では未成年者に対しての煙草や酒類などの販売が厳しくなっている。俺が生まれてくる数十年前なら自動販売機で手軽に両方とも購入できたらしい。現在では、煙草は成人識別ICカードが必要になり。酒類販売停止、または、煙草の自動販売機同様に成人識別機能が組み込まれた販売機なら設置可。という、自動販売機大国ならではの発想である。

 ――その機能は、体面上、機能している。

 だ、け、ど。

 対面式販売ではタッチパネル式の年齢確認で、成人であるとと、世の中である。

 世の中は歪んで構成されている。

 ヘビーユーザーからするとカートンやケースで購入できる、対面式の方が利便性は高いから。

 念のため言っておくが、俺は未成年なので煙草も酒もたしなみませんよ。嗜むのは、主に――炭酸飲料。

 

 ビニール袋も有料化されているので、俺は百均で購入した煙草専用エコバッグに、七カート、入れた。

 それじゃーぁー。向かうことにしよう、アルバイト先である。幻談都市、最深部――黄泉國よもつくにへ。




「社長。煙草、買ってきましたよーぉー」

「ありがとう。お釣りは、お駄賃だちんに」


 できる女、スマイルを返してくるが、お金を返してほしい。


「社長から預かった諭吉ゆきちさん。二枚では、足りませんでした」

「はーぁーあー?」


 できる女、凄みにらみを俺にされましても。


「じゅ、じゅなんちゃら法の影響で、すごく煙草の値段が――」

「おのれおのれ、憎き禁煙信者共、が! 毎度、毎度、喫煙者を目の敵にしやがって! どれだけの税金を喫煙者が国に納めているのか、知らないのか? アイツら、は! うま鹿しかなのか?」

うま鹿しか、では……ないと…………思います………………けど……………………僕よりは…………………………」

「殺そう、そうだ、殺そう。禁煙信者だけ、狙って、一日、千人ずつ」


 できる女、云っていることを本当に出来ちゃうから、なぁー。自分の手で殺してくれるなら、いいけど。

 この話の流れ、は――。


神威しんい。社長、命令だ! 死神の右腕デス・サイズとして、憎き禁煙信者共を殺してこい!」


 ――ですよ、ね。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る