第6話 死体吸収発動

 俺は穴に飛び込んだ。


「イダッ!」


 あまり深い穴ではなかったが、怪我をしている足から落ちたので、激痛が走り、痛みでしばらく悶える。


 酷い臭いだ。吐き気が込み上げてくる。なんとか堪える。


 辺りは暗くて何も見えない。少しすると目が慣れて、うっすらとだが見えるようになる。


 穴の下はあまり広い空間ではなかった。

 そして、深くもないため、もしかしたらあのゴブリン達が追ってくるかも?


 進める場所がないか、辺りを調べ回る。

 すると、


「うわっ!」


 あるものを発見して、驚いて俺は思わず声を上げた。


 あるものとは死体だ。

 死んで腐敗している、巨大な蛇の頭があった。


 恐らく顔だけじゃなく、胴体もあるだろうが、俺からは頭しか見えない。


 この巨大な蛇の死骸が、腐敗臭を放っていたのか。


 ばっちいので、あまり近づかないようにする。


 蛇の死骸以外何もない。


 こうなれば、ゴブリンたちが入ってこないことを祈るしかない……


 しかし、頭上を見てみると、ゴブリンたちが穴の中を覗き込んでいるのが見える。


 降りるかどうか迷っているかもしれないが、降りてこられれば俺は一巻の終わりだ。


 俺は降りてくるな! と心の中で祈る。


 しかし、俺の祈りは通じず、ゴブリンは何か紐のようなものを穴に垂らして、それを伝い降りて来ようとする。


 クソ、どうする!?


 ……そうだ!


 俺はここで先ほど見たステータスを思い出した。


 死体吸収。確か俺はそんなスキルを持っていたはず。


 そのスキルを使いこの蛇の死骸を吸収したら、何かいいことが起こるかもしれない。


 何も起きなくても、蛇の死骸が消えることで、逃げ道が出来る可能性もある。


 吸収できたのは少しだけ、ってなるかもしれない。

 それに、こんな腐敗した死骸を吸収するのは気が引けるし、下手したら死ぬ危険性もあるが、こうなったらやるしかない。


 つか、どうやって吸収するんだ?

 触って吸収しろって、念じればいいのかな。


 俺は死体に右手で触る。


 触った瞬間、念じていないのだが、頭の中に、


『死体を吸収しますか?』


 と機械的な声が聞こえてきた。


 念じる必要はないのね。

 俺は頭の中で、「吸収する」と返答した。


 すると、俺の手のひらから渦巻きのようなものが発生。

 蛇の死体がその渦に飲み込まれる。


 数秒経って全部飲み込まれた。


 飲み込まれた直後、


『アースドラゴンの吸収に成功。

 HP 100上昇、MP50上昇、攻撃力50上昇、防御力100上昇、速さ30上昇。スキルポイント10獲得。

 スキル【鑑定Lv1】獲得。スキル【隕石メテオLv3】獲得』


 機械音が頭の中に響いてきた。


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