第13話 嘘でしょ?!母が来た!

悟はその後救急車で運ばれた。

 軽い脱水症状だったらしく、水を飲めば数日で何とかなるそうだ。

 野球の試合から2日後、悟の見舞いを済ませた蓮は自転車で、家に帰ろうとしていた。

 その時、1台のバイクが自転車を飛び越え、目の前に現れた。

 そのバイクに乗っていたライダースーツの女は蓮には見覚えがあった。

 「It's been a long time, my beloved son」

 サングラスをかけていたが蓮にはわかった。

 そして、面倒くさそうな顔をした。

 「………母さん?」


 橘 たちばな れい

 橘蓮の血の繋がった母親であり、仕事内容は蓮も知らない。

 だが、金をすごく稼いでいるのは事実

 しかし、たまに航空便でトーテムポールやらマトリョーシカ等の外国名物を送り付け、3人の部屋を圧迫させている事が多々ある。

 そして、ものすごくうるさい。

「久しぶりだな!我が愛しき息子〜」

 突然出会うと蓮に飛びつき、少し大きめの胸を蓮の顔に押し付けて。

「会いたかったぞ〜このまま食べてやろうか〜?」

 蓮は母親の胸で興奮はしない。と言うかしたくない。

(来たよいつもの……いつもこうなんだよな母さん……)

「よっし、とりあえずお前の家行くか」

「あんたが借りた部屋だろ」

「まぁまぁ、家賃は払ってんだからよ」

「そうだけどさ……」

 そして蓮と莉は自転車とバイクを押し、部屋へと向かった。

 その頃、キラーは公園のベンチによっかかり、噴水広場であるものを待っていた。

「おせぇんだよ」

 それは、怪人だった。

 ホタテの様な篭手を持ち、肩や膝にも全身にも大きなホタテの貝殻を模した装甲をつけ、頭には大きなホタテが着いており、開くと、1本の触覚がまっすぐ生え、先端には目が着いていた。

「ペルノペクデンパと申しますホタテ」

「いやどっちだよ」

 キラーから的確なツッコミを貰いながらも、ペルノペクデンパは律儀にお辞儀をし、頭の貝殻をかく。

「それで、どこに行けばよろしいホタテ?」

「黙って着いてこい、てめぇその格好目立つんだよ」

 キラーはペルノペクデンパのケツを蹴り飛ばし、ある場所へ向かった。

「蓮沼春樹って男の家だ。そいつを手伝え」

「わかりましたホタテ」

「だからその語尾やめろ」

 2人は、蓮沼春樹の元へ向かった。

 蓮と莉はそれぞれ自転車とバイクを押しながら向かっている。

「なぁ母さん」

「お?なんだ?シベリアで野宿した話でも聞きたいのか?」

「なんでそんなさっむいところで野宿してんだよ。そんな事よりも聞きたい事があるんだよ」

「なんだ?」

「竜騎士って……分かる?」

 そう言うと、莉は何かを察し黙り込む。

「なんか、じいちゃんと関係とかあんのか?」

「………まぁ、私の父さんはそれを承知してたからな……本当はお前にそんな力、覚醒して欲しく無かった」

 蓮は、少し驚きながらも、話を続ける。

「そうなのか……でも、俺自身は別に辛いとは思わないし、大丈夫だよ」

 莉は蓮の両肩を握って訴えるように言った。

 その瞳には、涙が出ていた。

「………そうじゃなくて、もう………」

「……何だよ」

もう大切な人を……失いたくないんだよ……」

「あいつ……」

 蓮には、誰の事なのか分からなかった。

「……あいつなんだ……あいつさえ……居なきゃ……涼りょうは」

 同時刻、とある場所にある地下室。

 青髪の男は座りながらある物を見ていた。

 それは、血が飛び散った2台の手術台だ。

 そこには、2人の男女が寝かせられ、頑丈に固定されていた。

 女は、両手足を機械にされ、頭にもバイザー型のヘルメットを取り付けられ、ヘルメットから伸びる管は脊髄にくっつけられている。

 その女は意識が無く、たまに身体が跳ねるように動く。

 そして男は身体にパイプをつけられ、顔にはガスマスクを縫い付けられ、髪は白く変色をしていた。

 そして背中には大きなボンベを取り付けられていた。

 もちろんこの男にも意識は無く、たまに身体中から煙を吹き出す。

 そして、部屋の扉からガスマスクをつけた1人の男が来た。

「さてと、実験体の2人は大丈夫かね。テスタ・レックス」

 テスタは小さく呟いた。

「………ああ」

「おやおや、元気が無いねえ。少しは外に出たらどうだ?」

「……生憎、そういう気分でもない」

 青髪の男がそう言うと黒髪の男は、地下室を出た。

 黒髪の男の名は、間田敏樹はざまだとしき

 全てを狂わせた男である。

 蓮と莉の2人は部屋についた。

 蓮が扉を開くと、そこにはケラトしか居なかった。

 ケラトは2人に気づくと、すぐに出迎え、正座をして迎え入れた。

「お帰りなさいませ蓮様」

「んなかしこまらなくていいよ……」

「そちらの方は?」

「橘莉、俺の母親」

「初めまして、私ケラト・トリケと申します」

 莉はピースをしてケラトにアピールした。

「よろしく〜君、竜人でしょ」

 その一言にケラトは少し驚いた。

「えっ、もしかして竜世界の事をご存知で?!」

「まっ仕事の関係でね〜」

 莉はケラトの頭をガシガシと撫でる。

「お母さんマジでなんの仕事してんのよ………」

 蓮はますます疑問に思った。

「あれ?小夜は?」

「ああ、小夜さんなら出かけましたよ」

「親がきたっつーのにあいつ……どこいってんだよ…」

 莉は、何か恐ろしい物を見たように、蓮を見る。

「なんだよ?ゴキブリでも出たのか?」

 蓮が冗談混じりに言う。

 しかし、莉は首を振る。

「小夜って………誰だ」

 蓮は首を傾げる。

「おいおい、自分が産んた妹さえ忘れたのかよ。それはジョークとしちゃあまり良くないと」「そんな訳ないんだ」

 莉は食い気味に言う。

「そ、そんな迫真の演技するなよ……」

「そもそも、お前の父親の……橘涼たちばなりょう

「えっ……」

 ケラトは空のグラスに麦茶を注ぐのを辞めた。

「えっ、それじゃあ……」

 ケラトはそう言った。

 間田コーポレーション

 それは、間田敏樹の経営する医療機器会社で、世界的にも有名な会社でもある。

 そこの社長室には、間田敏樹と1人の少女が居た。

「今まで、情報収集ご苦労様、橘小夜いや……イヴ」

 目の前には無機質な目をした、小夜が居た。

 To Be Continued

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