第1話 再会

「暑いな・・・」

僕はそう言って襟袖をパタパタと動かす

日が暮れたといえどまだ暑い

たまに吹く風すらも湿気を感じた

「まだこないのかな??」

そういって時計を確認する

もうそろそろみんな来る頃だ

すると後ろから

「よ!!」

肩に手がかかる

振り返るとそこには

隼人、恵理、智弘

三人がいた

「お!?あれ?おまえらいつのまに?しかも三人で?」

驚きながらも三人に話しかける

「さっきな!久しぶりだな匠!」

智弘が話しかける

「たっくん!ひさしぶり!」

恵理も続いた

「匠は早かったな?いつごろからだ?」

隼人がつづく

矢継ぎ早に三人に話しかけられるが

それが逆に懐かしく感じる

「俺もさっきかな?それにしてもひさしぶりだな!!」

三人とはいつからか離れ離れになり

そのままこの夏になるまで会うことなかった

(あれ?いつからだったろうか・・・)

ふいに頭に浮かぶ疑問

「じゃ、いこうか!」

隼人が声を上げる

その声に浮かんだ疑問はかき消されてしまう

そして隼人の声に続きみんなあるところに向かう

それはあの日美香がいなくなった学校のグラウンド・・・

時間もあの日に近い夕方ごろ

それぞれに用意した美香へのプレゼントを手にして・・・

「この校舎ももうこれで見納めか・・・」

智弘が考え深げに言う

「そうだね~」

恵理は・・・何気に答えたのだろ

この校舎は老朽化が進み

新たな校舎になるために今期でなくなり

隣に立て直すようだ

そしてその校舎の近く

美香を最後に見たあの場所にみんなで向かう

その場所だけが時間が止まったように

残されていて虫の鳴き声さえあの時と同じのように感じた

その中個々に持ち寄った物をその場に置いていく

「「「「・・・」」」」

その間みな思い思いの表情を浮かべていた

そして手を合わせてあの時の美香に話しかけるように

時間を使った

(美香・・・あの時俺がみんなを止めていれば・・・ごめんな・・・)

俺は自責の念を美香に明かすように心で話した

「みんなもう大丈夫か?」

隼人がみんなに確認した

どうやら最後まで手を合わせて目をつむってたのは俺だったようだ

「あ、うん、もう大丈夫だよ」

そういって視線をみんなに移した

「ふ~、やっぱなんかあれだな・・・」

智弘が浮かない顔で話す

「・・・」

隼人は何も言わず顔を伏せる

「そうだね・・・美香・・・」

恵理も顔を曇らせて声を出した

その場の空気は元の空気の湿気の多さと

みんなの思いが混じったことで

さらに重くなった

永遠に思えるように時間・・・

だが実質のところは数分だったろう

隼人がその中口を開く

「なあ、校舎に入ってみないか?」

唐突な提案

「いや、いくら古い校舎とはいえこの時間に入ることはできないだろう」

俺は話を返す

「まぁまぁ、ためすくらいならいいだろう?卒業生だし最後の記念にな!」

隼人は今までの空気を一新するように声を明るく言う

「そうだね!久しぶりにみんなそろったし行こうよ!」

恵理も言う

その反応に俺と智弘はためらいながらも

「まぁ~そうだな・・・いこうか!」

そうやって返事を返した

そのまま四人で校舎の玄関にむかう

その間たわいのない当時の話をする

美香が居たころの話・・・

出来るだけ避けたいが

なぜかその話が中心になる

だがさっきまでとは違う少し明るい話であった

玄関まではあっという間につき

人気のない校舎の雰囲気に少し特有のおどろおどろしい感じを受けながらも

「開いてるかな?」

智弘はそのまますぅと手を伸ばす

そして校舎の扉を引くと

緊張感を感じる間もなく扉が開く

あまりの呆気なさに

「開いた」

隼人がぽかんとつぶやいた

「そうだな」

俺はそうやって返すくらいしかなかった

雰囲気とは違う展開に誰もが呆気にとられた感じだった

「ラッキーじゃない?いこうよ!中に!!」

恵理はテンション高めにみんなに話しかける

「・・・そうだな・・・もしかしたら先生とかいるかもだからな!」

何か不思議な感じに包まれながらも恵理を先頭に中へと入った

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