第19話 黒ヒョウちゃんは、メイドからバニーガールに進化した

俺の中に居座ってしまった黒ヒョウ……というか、メイド美少女というか、メイドエイリアン……他……は、名前をつけないと変身する度に名称が変わってめんどうなので、俺は黒ヒョウちゃんにちゃんとした名前をつけたいと思った。



最近は、黒ヒョウの姿をあまりとらなくなっているので、いつまでも黒ヒョウちゃんと呼ぶのもあれだろう。



とりあえず、本人に直接聞いてみた。



どんな名前がいいだろう?



「それは、マスターの仕事ですよ」



いや、希望の名前とかないの?



「別にどうでもいいですよ」



本当に?



「はい、本当に」



じゃあ、ジャンえーべるばっは太郎助右ヱ門という名前でもいいの?



「ちょっと長いですね」



だろ? じゃあ、何文字くらいがいい?



「えーと、じゃあ、三文字くらい」



それじゃあ、そうだなあ……うーん、黒ヒョウだと四文字だしなあ……黒ヒョウは獰猛だし……おとなしくて魅力的な名前とかがいいかな……



「さっさと決めてください」



それじゃあ、おとなしいうさぎさんのイメージで、「バニー」という名前にしちゃうよ。いいの?



「バニー? ウサギ族ですか?」



「いや、バニー族……かな」



「変身するので、資料を見せてください」



「俺は、キュートなバニーガールの画像を手渡した」



念のために、「サービス精神旺盛」 という説明も付け加えた。



「メイドとどう違うのでしょうか?」



俺は、返答に窮してしまったが、ランクが上のメイドみたいなものだと伝えておいた。



こうして、黒ヒョウちゃんは、出世魚のごとくメイドから進化して「バニー」と呼ばれるようになった。



バニーはバニーガールの衣装を身にまとって、鏡の前ではしゃいでいる。



円くて白いしっぽがかわいい。



触ろうとすると、逃げ出した。



逃げられると追いかけたくなるのが不思議だ。



待てい。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る