第12話 数独2
2日後、水曜日も先輩は数独をスラスラ解いていた。いやいや、マジでホント先輩は中級レベルまではスラスラ解いていた。月曜日来た時の頭を抱えている先輩はホントレアな光景だったらしい。
「……」
「……」
「……」
「……」
そしてかなりのスピードで進んで行くから……多分月曜日の初めの問題で時間を使ったから押している。という感じなのだと思うが……前にもあったからね。押しているとすごい勢いで問題を解いていく先輩。なのでなかなか話すタイミングがない。
結局私はこの教室に来ても正面で座って先輩を観察する。だけとなっていた。これじゃまた「ひまー」と言いそうとか私が思っていたら……。
「……なあ、近くないか?」
「え?」
それは突然だった。
「……お前の場所場所」
「……あー」
先輩に言われてすぐは気が付かなかったが……。
ふと今の自分の立ち位置を改めて見てみると……気がついたら私先輩の使っている机の前に椅子を移動させて先輩がパズルしているのを間近で見ていたので、先輩の顔が目の前にありました。
いやー、先輩ドキってしたかな?
私?いや。普通ですね。はい。
「ってか、先輩から話しかけてきたーレアですね!」
「いや、まあなんか近かったし」
「もっと近くもいけますよ?」
「……」
「うわ、無視だ。問題に逃げた」
「……」
「先輩」
「……」
「先輩ー」
「……」
「先輩先輩」
「……」
「馬鹿先輩?」
「……なんだよ。何回も」
「なんで馬鹿先輩で反応するんですか」
うん。本当に先輩の時には反応しなかったくせに。馬鹿をつけたら反応しました。
先輩……馬鹿と呼ばれるのが好きなのでしょうか……。
「いや……集中できないから」
「それはごめんなさい。ってか、先輩集中しすぎですよ。めっちゃガチじゃないですかー。話しながらとかできないんですか?」
「無理」
「即答ー」
「ってか、先輩数独ってそんなスラスラできます?実は先輩天才?」
「いや、勉強は赤点ギリギリ」
「……なら勉強もしましょうよ」
「いや、してる」
「見たことないです」
「家でするからな」
「まあ、そりゃ、そーですね。ってか今日はよく話してくれますね」
「お前が問題隠してるからな」
「ばれたかー」
「バレバレだろ」
「ごめんなさーい」
と、先ほどからパズルの問題のところに私は手を置いていたんですが。まあさすがに問題が見えないと先輩も問題ができないから普通にこっち見てくれますね。
「……」
ってか。私が手をどけたらすぐに問題やりだしたー。無視だー無視。あっという間に逃げられたー。
って、先輩を見ていると…。ちょっと悩みだしたかな?チラチラだけど止まることが出てきたから。はじめの方の問題を解いていた時のスピードは無くなったかな?でもまだスラスラ解いている方か……。
とまあ。ちょっと邪魔をして妨害してしまったため。その後の私は大人しく先輩の前に座り……観察をつづけたのでした。
ちょっとずつ悩むところが出てきた先輩の表情とか仕草。見ていて面白かったですね。うんうん。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます