第16話

「どうしたんさ」

 学校近くのチェーン店のカフェに俺の分まで注文してきたミヤがはい、とキャラメルラテを手渡してくる。

「あれ、俺の分は?」

「朔太郎あんた甘いのダメでしょ。自分の好きなの買って来い」

「はぁーい」

 明仁はさっきミヤと一緒に注文してきたらしい。エスプレッソを買った朔太郎が帰ってきた。1人で黙々と抹茶フラッペと格闘している明仁を横目に、ミヤが聞いてきた。

「例の彼女?」

「……避けられてんのかな」

「きょーちゃんのストーカーっぽさに今更気付いたとか?」

「……」

「ごめんて」

「……何でこんなに会えないのが辛いんだろ」


「きょーちゃんがその子の事、好きだからでしょ」


——そっか。そういうことだったのか。


 ミヤの言葉に納得がいった。

 だから俺は、会えないのが辛かったんだ。

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