その後

 その後、ヒルとモリソンは連行され、私たちは国王に呼ばれた。私ルルーと、姫様、フレア様は王の間へと歩みを進める。その雰囲気は重苦しいものだった。


「……何言われるのと思う? 」

「なんでしょうね」

「多分きっと、あなたたちが入れ替わった原因でも話すのではないかしら? 」


 入れ替わった原因。その言葉にぴくりと反応する姫様と私。


「きっと細かい事は聞いていないんでしょう? なら、きっと話すはずよ。モルビテ国のモリソンもヒルも連行されたし、あなた達に真実を告げない理由が無いわ」


 フレア様はそう言い放つ。ピンと背筋を張り、その姿はテレーゼ様を彷彿とさせる。やはり、姉妹なんだなぁと感じた。


「そして私は破談ね」


 そして、ぽつり呟いた彼女の言葉を私は聞かなかったふりをした。




「よく来た、表をあげよ」


 私たちはすっと姿勢を戻す。そして、真っ直ぐに国王を見据えた。国王の視線は真剣なもので、光って見えた。


「ここでお前たちを呼んだのは……」

「モリソン陛下のことでしょうか? それとも、私たちの出生のことについてですか? 」


 口を噤む国王に痺れを切らしたのか、姫様ははっきりそう言った。


「その両方だ」


 また、あの時みたいな申し訳なさそうな、なんとも言えない顔をして答えた。そして、驚きの一言を放つ。


「本当に、すまなかった」


 ぎょっとした。一国の王が、私たちに謝ったのだ。


「フレアの、ニナについて気づけなかったことや、シャルロッテとルルーのややこしい関係について」


 私は不思議な感じがした。入れ替えの、きっと多分張本人が謝っているというのに胸のつっかえが取れなかった。逆にこれだけの国王にムカついてもきた。

 最中、フレア様に声がかかる。国王が許可を与えると、彼女は立ち去って行った。


「モリソンが、シャルロッテのことを狙ったことは入れ替えにも関係している」


 やはり、と私たちは思った。


「……一体、何があったというのです? 」


 我慢できずに国王にそう言ってしまった。


「! ルルー」


 姫様の驚きの声。顔を顰め、そして国王は将軍と宰相、そしてテレーゼ様を呼んだ。


「これから話すのは、お前たちの出生時に何があったか、だ」


 そうして、重い重い口を開けた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る