第10話 願

3つみつの姫達は御殿ごてん中央に座していた

あれは夢か幻か

いや 誠であったに違いない

扇の上に両手のひらほどの黒い塊が乗っている


それを中央御殿にまつった

姫達はその塊に深々と礼をする

その年の大雷おおなりの日は終わった


3つみつの姫達はよわい18になった

目の前には夫と決めた者が座す


母は神妙な面持ちで下を向いている

何かを察してか

3つみつの姫達が声をかける


1姫いちひめ「大丈夫です。私達は土地神と共にあるのです」

2姫にひめ「夫を愛し生きていきます」

3姫さんひめ「子を守ります」


母はと一言

それはこれまでの舞う女達とその夫達

全ての者からの言葉

この上ない感謝の思いであった

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