第4話意外と美味い

「指輪で食いもんも作れるんじゃね?」

そうなったら余裕で生きていけるぞ!

俺は興奮気味にジタバタする。

「よし、行くぞ」

ゴクリと唾を飲んで挑む。

「食べ物を!」

ピカッ

おお!

光ったぞ!

「ようやく飯を食える」と思ったが、食べ物は出てこなかった。

「何故だ…」

「なんで出てこねーんだよ!今光っただろ!ピカッって言ったじゃん!!」

むー何故だろう。

光ったのに出ないと言う…。

これは新しいパターンだ。

食い物が出ないならしょうがない。コイツを解体しよう。

まずは血抜きするか。

(グチャ ビチュ ブチ ブシュー ゴト ビリビリビリビリグチョン クチャ クチュ)《自主規制》

ーー「フー出来たか、にしてもクッセーな」

やはり魔物の肉は臭く、少し硬かった。

「調理したらちょっとはマシになるかな…」

入念に火を通したいところだが、火は出るのだろうか。

火なんて触った記憶ないからなぁ。

俺は薪を出してから、火に挑戦してみる。

火が出れば、料理や明かりが調達出来る。

「火を!」

ボッ

「おおーー!」

火がついた。

どうやら火は、水のように落ちてこないらしい。

俺は手の火を薪に近づけ、火を付ける。

「よし!焚き火の完成だ!」

火は問題なく起こせることが分かった。

素晴らしい収穫である。

俺は小枝に怪物の肉を刺し、素焼きにする。

匂いは普通に美味そうだ。

「ほぇーー!うまそっ」

いざ、実食!!

ジュるりと唾を飲み、パクッと口に入れる。

「うめーーーーーーーー!!」

いや、これはマジでうまい!

そこらの牛肉より美味いぞ!

俺は素焼き肉を素早く食べきり、横になる。

「あぁ〜満足♥」

と横になっていると、ふと疑問が浮かんだ。

そう言えば。残りの肉はどうしょうか。

もしここから出るならさすがに全部は持っていけないが、一部なら持って行けるだろう。

俺は寝っ転がったまま天井を見る。

暗い。

「…やっぱ太陽の下が良いな」

このダンジョンに来て結構な時間がたったが、人間はやはり、太陽が恋しくなるものである。

生物が存在することを考えると、太陽的な星が近くにあることは確定だろう。

しかし地図がないとここから出るのは不可能に等しい。

さて、どうするか…。

しばらく考えたあと、この結論に至った。

「とりあえず道なりに行くか…」

今はそれしかない。

そう決意して、松明と、残りの肉を持つ。

いざ、冒険の始まりである。

ーー「ふ〜結構歩いて来たな…」

出発して1時間くらいたっただろうか…。

全然出口が見つからない。

一様元きた道が分かるように、目印として発光ブレスレットを置いてきている。(あのパキッとすると光るヤツ)

ちなみに結構歩いて来たが、まだ魔物的な物は出てきていない。

このまま出てこなければいいが…

そんな事を思っていると、前方からうなり声が聞こえた。

グルルルルルル

すると暗闇の中から、オオカミみたいな魔物が現れた。

「やっぱフラグでしたよね…」


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