第40話 狩りの始まり

「いやああ、何するのやめて話して!痛っ」

私は今いかにも悪そうな男2人に路地裏に引きずり込まれて

顔を殴られた。


二人の男は最近は暖かくなってきたとはいえ、

まだ朝晩は肌寒い季節なのにタックトップ1枚という頭の悪さだ。


ただ単に筋肉すごいだろうアピールがしたいのか

それとも両腕にある刺青すごいだろうアピールをしたいのか。


まあ多分両方含めて俺は悪カッコイイんだ見ろよ!という

他人にかまってもらいたい欲求が溢れ出ているのだろう。


男の1人が私の両肩を地面に押し付け身動き出来ないようにする。

もう一人はそんな私を見下ろしニタニタと卑下た笑みを見せている。


すると路地の奥から革ジャンを着た男が歩いてきた。

「おいおい、顔を殴るのはやめろよ。これから姦るのに萎えるだろ。」


暗がりの街灯に照らされた男の顔は醜悪でゲスい顔つきだ。


「だ、誰なの?いったい私に何をするつもりなの!」

一応声を震わせる演技も忘れない。


「ちっふざけんなよ!」

バキッ

男は私の声を聞いて怒り出し、

近くの積んであった瓶ケースを蹴り上げた。


「俺の顔を見ても思い出さねーのか。」

醜悪な顔を引きつらせ威嚇しながら近づいていくる。

足を引きづっていた。


さっきの瓶ケースを蹴り上げた時に負傷したようだ。

まさに地産地傷(ちさんちしょう←傷になってる)。


「高校の時お前に振られた翔太だよ。」

「ぷぷこんな女に振られてやんの」

男達が嘲笑した。


「馬鹿野郎、本気なわけねーだろう。弄んで捨ててやろうと思っただけだが引っかからなかったんだよこのクソアマ!」

私がレイさん達と出会って束縛から解放され生まれ変わり

明るく社交的になった後、何人かに告白された。

その中のゲスな男の1人だ。


「まあ、その代りに今からお前をこの3人で取っ替え引っ替え飽きるまで可愛がってやるからよ。」

その言葉に刺青タンクトップ筋肉バカ2人と翔太という名のゲス田ゲス夫が

何がそんなにおもしろいのか高笑いをする。


ヒィヤアアアアハハハハ、ゲスゲスゲス、キッキキキキってな具合の雑魚笑いだ。

ヘドが出る。

私は体を震わせて青い顔をして見せる。


「ふふふ、いいねその顔これから自分の境遇を想像して絶望に落ちる顔を見るとたまらねーぜ。」

私は弱めの力で体を動かし逃れようとするフリをする。


「おっと逃げようとするなよ。そうだ、お前にプレゼントがあるんだった。気持ちよくなるお薬だよ。す〜〜ぐ気持ちよくなって俺から離れなくなるお薬だよ〜。おい腕をしっかり持って押さえつけろ。」

もう1人の男が私の腕をつかみ注射がしやすいように伸ばして抑えつける。


「いやあああ、やめてえええええ。」

私は髪を振り乱しいやいやをする。


こういった態度を何度も経験しているであろう男達は嗜虐心をくすぐられるのだろう、より興奮するようだ。

獣の匂いがする。

人の面をかぶった畜生達だ。


そして翔太は私の腕に注射器を当てて薬を注入した。


私のからだの中に異物が入ってくる。

警告が発せられる。


体が異物に反応して機能をシャットダウンする。

私の体の力が抜けぐったりとして意識を切り離し

まるで夢を見ているような、夢の中にいるような感覚に陥る。


ぐったりとした私を見て男達は前もって準備していた車に連れ込み、

真夜中の暗がりの中、繁華街の方に向けて車を走らせた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


あるマンションの1室だ。

どうやら防音機能のある部屋のようだ。


部屋には家具も何もない8畳くらいの広さで

真ん中には大きめの敷き布団が1枚だけあるところに

私は寝かされていた。


男達はすでに裸だった。

順番が決まったようでどうやら1番になった翔太がゲスい顔で私に近づいてきた。


「おいおい、がっつきすぎてすぐ終わっちまうんじゃねーか?」

「お前早漏だからな、ぎゃはははは」


2人に野次られた翔太は嫌そうな顔をして言う。

「こいつはな幼い時の火事で体にひどい火傷の痕があるっていう噂だ、お前らこそこいつの体見て起たないんじゃねーか。くくくく」

「はーー冷めるわ、そんな女 俺はパス」


「バッッカだなお前服着たまんまだったら気にならねーだろ。」

「お前天才だな!それで行くわ俺。」


醜い全裸3人にゲスい3人の会話。


「ま、俺は全然いけるけどな。どれどれ、その火傷痕を見せてみろよ、よっと。」

翔太が私に近づきワンピースの衣服を剥ぎ取った。

私の下着姿が曝け出される。


「おい、どこに火傷痕があるんだよ。きれいな体じゃねーかよへへへ。」

「まあ、噂だったからな。ないならないでいい体じゃねーかそそるぜ。」

翔太が私の体に覆いかぶさる。


「今からめちゃめちゃにしてやるぜ!カカカカ」


ピチュンーーーーーーーーーーー


「カカ・・カ・・・」


「お楽し中すみませんが…貴方の汚い体をどかしてくれないかしら。」

私は覆いかぶさった翔太を足で跳ね避けゆっくりと起き上がる。


「な」

刺青の男達は何が起こったか理解できず驚き、棒立ちのままだ。


私はどこからともなく出した黒のワンピースを着て

黒のカーディガンを羽織る。


「な、なんだこれはどうなって…痛いいたあああああい。」

「痛みを感じるの遅いわね。あなたの神経はザリガニ並みなのかしらね。」


翔太の右手の手のひらにゴルフボール並みの穴が空いてる。


「あなた達ピアスとか好きそうじゃない?ヘソピとか。だから手にも穴が空いてたらオシャレじゃない?」

私の言葉が理解できないみたいだ。


ちょっと何言ってるかわかんないんですけどって顔をしている。

しょうがないわね。

理解しやすいようにサービスよ。


ピチュンーーーーーーーーーーー


3人一人一人の足元に当たるか当たらないかギリギリのところに拳大の穴が開き煙が上がる。


「あなた達、自分が強者だといつから勘違いしてたの?」

3人の顔を一人ずつ順に見る。


「自分を捕食者だと思った?被食者(ひしょくしゃ) のくせに。」

まだ理解していないようだ。


「さあ狩りを始めましょうか。」

私は今年1番の笑顔を魅せた。


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