SCP-003-JP-orig 「色を食む者」

アイテム番号: SCP-003-JP-orig


オブジェクトクラス: Safe


特別収容プロトコル: SCP-003-jp-orig(以下SCP-003と称する)は、家具と浴室が備わった2部屋の独房に収容されています。博士の許可により施設内を出歩くことが許されています。SCP-003に取り付けられた追跡装置は取り外してはいけません。外出は×〇博士から研究用としての外出許可と事情を知っている職員の同伴がなければ許されていません。


SCP-003は現在サイト-9に収容されています。


説明: SCP-003は短い白髪に黒目の30前半の男性で、身体に人間との相違はありません。食事は手で触れないものを好み、自身の能力による被害に極度に怯えています。自身のなさの表れなのかおどおどとした話し方で目を合わせきれず、よく両手をいじっています。


追記メモ: SCP-003は20■■年に、全身白い服を着た麻薬をやっていそうな変な男がいるという通報を受けて職員が言ったところ、極度に困惑し恐怖して萎縮してしまっているSCP-003がいた。話を聞いたところによると、見知らぬ男に誘拐され気絶したが、気が付いたら触れるもの全ての色がなくなってしまうと証言し、財団に保護されました。


補遺003-1: SCP-003は研究したところ、色を消しているのではなく食べているということがわかった。最初は見える範囲だけだったが、研究を続け彼が触れた場所から最大1m程の範囲の色を消すことができ、小さな物体なら色素のみを消すことが可能になった。普段は手袋をつけて抑えているが、このまま操作することができる様になれば手術等で多大なる利益を得る事ができる事をSCP-003にも話し納得してもらい、今後も研究兼実験に好意的に手伝ってくれることになった。



 ―――――――――――――――――


「あっ、ご、ごめんなさ…!」

「え? あ…いや、大丈夫だよ。特に元々の色に執着してないから」


 職員用の場所にいたSCP-003は、顔を洗った後隣で顔を洗っていた俺のタオルを間違えて手に取ってしまったらしく、すっかり色が抜け落ちてしまったタオルを拾いながら言った。

 本当に気にしていないのだが、彼はすっかり怯えていて。やっぱり突如現れた謎の力におびえるのは仕方がないが、元から自己評価が低いのもあって中々扱いが難しい。


「それなら、今日の昼食に苦手な野菜がでるから代わりにくってくれ」

「…わ、わかった…××にも嫌いな野菜とかあったんだね」


「苦手なだけだ! 食おうと思えば…嫌いとかじゃ…いった、」

「なあに意地張ってんの? も~俺の嫌いなのも食って~!」


「は、はい…!」 「結局お前も同じじゃねーか!」


 突然背後から肩を組んできたのは同期で。俺のお零れにあずかってへらへらしてる彼は、唯一本音で話せる。

 こうわちゃわちゃしていると彼はどこか嬉しそうに笑うため、やっぱり騒がしいのが苦手とかではないんだろうな。

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