戦国転生伝

梅ちゃん

第1話 プロローグ

201X年4月1日。


「うっ・・さむっ」


家を出て直ぐに首筋を撫でる風が冷たくて声が出た。


今日から四月なのにまだまだ春は遠いみたいだ。


そう、世に言うエイプリルフールの日に、俺は自殺をするために家を出た。


背負ったリュックには首を吊るためのロープと、念の為にわざわざ買ったナイフを入れてある。


自転車なら急げば目的の山まで1時間くらいで着くだろうか。


しかし別に急ぐ必要も無い。


死のうと決めるまでは悩んだけど、決めてからは気分が楽になった。落ち着いていながらどこか自分を客観視してふわふわしている。今のこの気分をなんて言えば伝わるだろうか。


そんな事を考えながら急ぐこと無く力を抜いて、流される様に自転車を漕ぐ。


この18年、思い出しても大して良い思いはしていない。親には少し申し訳なく思うけど、こうなったのも俺に勉強ばかりさせてきた親の責任だ。


俺はそう心の中で言い訳しながら、青く広がる遠くの空を眺めた。

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