クル村(ロドリー視点)


 あれから1日かけて故郷の村にたどり着いた。

 村の入り口にはボロい看板に村の名前と宿屋の場所が簡素に表記してある。懐かしいななー、この看板は10歳位の時にアランとリアナがチャンバラして壊したんだよな、あん時はめっちゃ怒られたな……俺もとばっちりを食らったっけ。



「お?お前ロドリーか? 」


「お久しぶりです、アザドさん。」


「久しぶりだなぁ!帰ってきてたのか、リアナや他の皆はどうした?」


「いえ、帰ってきたのは俺だけです。お恥ずかしながら色々あって俺だけ冒険者を辞めたんで戻ってきました。」



 村に入りすぐリアナの叔父のアザドさんに声をかけられた、リアナは幼い頃に両親をなくしており、親戚の叔父夫婦に引き取られる形でこの村に引っ越してきた。

 リアナは出会ったばっかりの頃は両親が亡くなったばかりのせいか、人見知りが激しくて泣き虫な子だった。村の子供達に馴染めるようにアザドさん夫婦にお願いされてて毎日の様にリアナに会いに行っては 『会いたくない』『帰って』『あたしに構わないで』っと冷たくあしらわれて、それでも彼女に会いに行った。

 今思えばかなり鬱陶しい行動だったなーっとか思うけど、俺も子供なりに早く村に馴染めるように……いや見栄を張った、本当はリアナと仲良くなりたいなーとか考えてた。


 だって当時のリアナは翡翠色の瞳に鮮やかな金色のツインテール、着てた洋服も垢抜けてて…めっちゃ可愛かったし…。

 しかもちょっとづつ会話する時間が長くなって、一緒に遊べるようになると俺の後ろに隠れながらおずおずと付いてきて…俺の幼馴染み可愛すぎか?


 まあすぐに猪になったワケだが。


 元からそういう性格だったのかこの村の環境のせいでそうなったのかは定かではない。


 今は猪どころかゴリ……おっと寒気がするからこれ以上は止めとこう。


「んー?……そうか…、まいいや。村長やダリ神父の所にも顔だしとけよ?皆喜ぶと思うぞ。」


 俺がパーティーを離れて帰ってきたことをもうちょっと詳しく聞かれるかと思ったがそんなことはなかった。何となく察したのかもしれない。


 ダリ神父はフローネの父親で村にある小さな教会の神父だ、とても真面目な人で若い頃は冒険者もやってたそうで俺達が冒険者になるときに色々と教えてもらった。


 そのあと直ぐに村長の家に挨拶にいくとどうやら初孫ができたらしくめちゃくちゃ惚気られたり、ダリ神父の所に行くとフローネについて質問責めにあったりと、久しぶりに会う村の皆はあまり変わってないなぁ…。


 道行く人達と挨拶をしながらようやく自分の家に着いた、家の中は埃だらけで大変なことになっていたので軽くベッド周りだけ掃除をして、明日は家中掃除しないとな…。


 しかし眠い…今日は早めに寝て明日はやく起きよう寝る準備をしてると誰かが家のドアをノックした。一通りの人達と挨拶したはずだが誰だろう? とドアを開けるとそこに居た人物は…。

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