帝国軍人の転生先は、異世界だった。新しい戦いと、大切な約束の物語。

帝国陸軍中将・兒島英治は、生涯大切にすると決めた妻・芙蓉子を喪った後に、太正十一年に暗殺される。
しかし、確かに命を落としたはずなのに――気づけば、亜人・獣人が社会を形成する異世界の大地に立っていた。

この世界のどこかに、先に黄泉へ旅立った妻も流れ着いているかもしれない。右も左も分からない異世界で、一眼人の女性・ロタに助けられた英治は、ロタが自分を呼ぶときの名前である「エッジ」として生き、亡き妻を捜しながら、ロタたちが直面しているさまざまな問題に向き合い、新たな戦いの中へ身を投じていく。

英治/エッジがとにかく格好良く、帝国軍人だった経験を活かして戦いに挑む姿からは、かつての人生で培ってきた貫禄や、亡き妻・芙蓉子と生きた日々で成熟した誠実な人柄が、硬質な文章で余すことなく伝えられています。

そんなエッジに徐々に惹かれていくロタの格好良さも、見どころの一つ。司祭長として多くの者たちをまとめたり、大きな決断を下すことを強いられる彼女の凛とした佇まいは、芙蓉子とは異なる存在のはずなのにどこか近しいものがあり、エッジとのやりとりに惹きつけられていきました。

新しい世界で出会う人たちも魅力的で、複雑な人間関係が生み出すドラマに、夢中になること間違いなし。
骨太で繊細、嫋やかで力強い物語の世界へ、ぜひ旅立ってみてはいかがでしょうか。
タイトルに愛おしさを感じるとき、きっと優しい読後感に包まれます。

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