長編 かすみ

@tamaki_kouichi

第1話

1章

『崩壊』


 名城大学附属高等学校。

略して名大附。

周りからはそう言った呼び方で呼ばれ、この学校の生徒もなんの違和感も無く同じように呼んでいる。

「ダムッ!ダムッ!」

チャイムが鳴り、いつもと同じように体育館に続く渡り廊下を歩きながら、体育館から聞き馴染みのある音がいつも通り聞こえてきた。

 ただ渡り廊下からの景色はいつもとは違っていて、ピンク色の花びらがひらひらと遊んでいた。

「もう3年生か。」

「そうだよな〜、もう3年生。ここにいられるのもあと1年か〜。複雑な感じ」

横から聞こえてきたこの声の正体は秋山祐樹。

「てか今日からじゃね?新1年生の仮入部が始まるの?」

「あー確かに!今年は何人きてくれるかな〜?まずはあれだね、仮入部期間はいかに楽そうな部活で優しそうな先輩を演じるかが問われるね!」

「バカかお前、そんな事してもそういうイメージで入ったやつはすぐにやめてくよ。」

僕はたくさんの部員に来て欲しくてそう言ったが、確かに秋山の言うこともあながち間違ってはいない。それでもうちの部活は練習量の割にはあまり部員が減らない方だと思う。

 秋山祐樹。僕が所属しているバスケ部のキャプテンである。そしてクラスメイト。

なので終業の合図とともに彼と僕はいつも部活動へ向かうのだ。

 彼の自己紹介をサラッとしよう。バスケ部キャプテン。そしてクラスメイトまではさっき言った通りだ。

特徴は話し方は割と口調が強い。けど声のトーンはどこかやる気が無くて、そして朝が弱い。好きな食べ物はメロンパンと意外な可愛さを見せている。

「おう!お疲れ!仮入部の子来るの早くてもう体育館で待ってもらとんよ!」

「流石だね〜。何人くらいいた?」

「ん〜〜どうだろう。十人はいたんじゃ無いかな?」

「今年は多い方かな?じゃあ早く俺たちも着替えていってあげよっ!」

 一年生の校舎は体育館に近いところにあるので来るのが早いようだ。

初めてなのによく部室の位置がわかったなと感心しつつ、まぁ体育館に来るのに迷いようも無いかと勝手に納得をした。

 バスケ部の部室だけ運動場の脇にある部室棟から離れたこの体育館前にあるのだ。

もう少し正確に言うと、部室棟に部室があるのだが、運動場と体育館との距離をめんどくさがって、体育館前の男子更衣室を勝手にバスケ部が使用している。

 なのでたまに教頭が前を通るとたまに怒られる。だがそのたまにも2年間の月日で数えれば結構なものだ。教頭も呆れて顧問に最近怒るようになっていき、不覚にも幸運だなと思っていたのも束の間。その顧問に怒られるようになった。正直教頭よりも遥かに顧問の方が怖い。怒ると鬼のようだ。いや、ゴリラか。

 そして僕達は、いつもの日常のように体育館の扉を開けるのだった。



 
















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