第42話 ヒートテッ君

 今やもう知らない人は居ないのではないかと思うほどに、冬のアンダーウェアの代名詞ともなりつつある『ヒートテック』。

 まだ、出回り始めの頃、だったかな。

 寒い地域に住む伯母が、そのアンダーウェアが欲しいなと思って、息子(つまりわたしの従弟。前話で一緒にお化け屋敷に入った、頼りにならなかった(笑)年下の従弟のうちの1人)に


「あれ、なんて名前なの?」


 と聞いたそうな。

 その従弟はまぁ・・・・おふざけが好きな子で(今はそれなりに年も取って落ち着いてきてはいる・・・・と思いたいけど)、


「ヒートテッ君、だよ」


 と答えたそうな。

 CM等でも流れ始めていた頃だし、聞き覚えがあるような響きだったので、伯母はまんまそれを鵜呑みにし、さっそく近くのユニクロさんへ向かいました。

 そして、店員さんに


「すいません、『ヒートテッ君』ありますか?』


 と尋ねた。


「ヒートテッ君・・・・??」


 怪訝そうな顔をする店員さんに、伯母はご丁寧にも【ヒートテッ君】と書かれたメモを見せる。

 それでも、困り顔の店員さんは、ヒートテックの売り場に案内してくれたとのこと。


「こちら、でしょうか・・・・?」


 そこに書かれていた商品名は、もちろん『ヒートテック』。

 伯母は顔から火が出るほど恥ずかしい思いをしたという。


「ほんっとにあのバカ息子だったらっ!」


 と怒りまくっていたけど。

 ごめん、伯母さん。

 大笑いしちゃった、わたし。

 ナイス、従弟♪

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