第26話 SNS

 ある休日、携帯にSNSからメールが届いていた。


何やら自動で送られるオススメらしく僕はそのURLをクリックした。

恐らく以前にフォローしていた芸能人だろうか。


開いてみるとそこにはリョウコと知らない男性が写っていた。


写真の下のコメントを読んでみると

『皆さん。お久しぶりです。私たち結婚しました』と書かれていた。


昔であれば離れてしまえばもうどこで何をしているか分からないまま終わる事が出来た。

でも今の時代はこのような現象が度々起こる。


僕のように自分自身で見つけにいっている訳でも無いのに(小学生の時好きだった女の子はこちらから探しに行った事がある。可愛い赤ちゃんを抱っこしてこれまた幸せな家庭を築いているようだった)。


SNSなんて物が現れる前はきっと今頃何をしているのだろうと想像したりして、

昔を懐かしんだりするだけだっただろう。


でも、今はしっかり写真や動画などがネット上にUPされる。


現実が目の前に現れる。


このSNSにもリョウコの結婚式の動画がUPされていた。

とても綺麗なウエディングドレス姿だった。

僕はなんとも複雑な想いと共に心の中でおめでとうと言った。

それと同時にあの時、僕がリョウコと離れる事を選ばなければ今頃リョウコの横にいるのは自分だったのだろうかなんてどうでもよい事を考えた。


僕は上書きされたことをしっかり認識した。


でも隣にいる彼よりも僕が先だなんて考えて慰めてみる。


僕に見せたあの表情をリョウコは今も見せているのだろうか。


僕だけの物では無いのは分かっているのに。


女々しい。


何秒巻き戻せばまた触れることが出来るだろう。


リモートではぬくもりまでは感じられない。


人間の脳は1万年程進化していないと聞くが、

世の中が1万年前と比べて進化し過ぎではないだろうか。


この情報量に進化していない人間の脳がついていくことが出来るのだろうか。


そうか。

ついていけない者は自然淘汰ということなのだろうか。


強迫性障害が良くなっていると言っても

僕はこのようにふと色々なことを考えてしまう。


でも、以前より深みにはまらずいれていることが1つの進歩だと思い、

1歩ずつ、1歩ずつ、生きていく。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る