人望が……。

綿密に史実が描かれた本格歴史小説です。
そういえば、関ヶ原の戦いの後は、いろんな事がすっ飛ばされて、
いつのまにか家康が幕府開いてたイメージでした。

石田三成というと、元防衛省長官の石破茂氏に重なります。
どんな相手でも言い負かしてしまうというのは、
たとえそれが正論であっても、怨恨を残します。
石破さんも、ずっと総理になりたがっているにも関わらず、
人望がないせいで、立候補の規定人数の推薦人を得られません。

これは決して茶化しているのではありませんが、
小説の中で三成には「人望が……」「人望が……」を連呼され、
思わず笑いがこみ上げて……。

聖人君主が必ずしも人望が得られるか、というと、そうではない。
その典型だったのかもしれません。
下々の人間の弱さ、悪どさ、狡さに共鳴してもらいたいものですね。
立場が上の人であればあるほど、そう願います。

そして三成亡き後、今度は秀頼の母の淀殿が……。
淀殿もまた「人望が……」「人望が……」を小説の中で連呼され、
笑いが止まらず。
容姿をけなされるより、人望のなさを指摘される方が堪えます。
そんな感じで、どの登場人物も人間らしく描かれていました。