第17話「いきなりステータスオープン(前篇)」



 そんなこんなで翌日。


「はわわ、わ、私とんでもないことを……」


 今さら恥らったってもう遅い。

 先日の醜態を気にしている様子で顔を赤らめるルティエラちゃん。

 エルフ特有の尖った耳。その先端まで真っ赤だ。

 おどおどわたわたしている姿も可愛らしい。


「まぁ、そういう時もあるよ」


 よしよしと頭を撫でると、


「あぅぅ~……」


 ぷしゅうと湯気でも出そうなくらいの様相でうつむく。


「またはじまったよ……」

「アルクの撫で撫では至高。ぜひ私も撫でてほしい」


 じっとりした目で見てくるフィルナと、撫でろとばかりに頭を突き出してくるセルフィ。


「よしよし」


 フィルナとセルフィも撫でておく。


「えへへ」


 目を細め気持ち良さそうににへらっと笑うフィルナ。

 これだけでご機嫌になってくれるんだからチョロいもんだ。


「さて、それじゃあ始めようか」


 今日から部屋にルティエラも加わることとなり、パーティ全員が集まった。

 なら、やることは一つだ。


「ステータスお披露目大会~」

「いえ~い」

「ぱちぱち」

「ちょっとだけ、恥ずかしいのです」


 フィルナは盛大に、セルフィは静かに、ルティエラは大人しく、三者三様の反応を示す。

 そう、これから始めるのは各自のステータス開示大会。

 各々何ができるのかを知っておき、パーティでの役割を決めたり戦略を立てるのだ。

 そんな訳で、


「じゃあ俺からいくね。ステータスオープン」


 空間に半透明のパネルが出現し俺の持つスキルや能力が提示される。

 内容はこんな感じだ。




 アルク・ディファニオン

 種族:魔族(インキュバス・ロード)

 クラス:遊び人

 Lv:42

 称号:性の伝道師、夜の王、神に愛されし者

 STR:S

 AGL:A

 VIT:S

 SEN:A

 INT:A

 MEN:A+

 LUC:SSS

 APP:SSS+

 MAG:SS


 種族スキル

 人化

 性気吸収

 翼飛行

 魅了の妖眼

 天上の美

 超美声


 スキル

 剛力EX

 剣術A

 槍術A

 格闘B

 投擲C


 商人

  算術C


 学者

  魔物知識B

  動植物知識C

  伝承知識C

  物品知識C

  歴史C


 黒魔法A

 生活魔法B

 白魔法C

 使役魔法C

 避妊魔法B

 魔力操作S


 特殊詠唱

  対象拡大A

  詠唱短縮A

  消費軽減C


 レアスキル

 斬鋼剣

 剣閃砲


 ユニークスキル

 性の伝道師

 夜の王

 神に愛されし者




 昼間なのでまだ本調子ではない。

 あと、偽装Sは偽装の効果で見えなくしてある。


 ステータスが一部上昇しているのは剛力EXと、剣術や槍術の一部として隠されていたアビリティによるものだ。

 フィルナが習得しているアーツ、ゼイダルム流騎兵闘法の奥義アビリティ。

 俺が夜の帝王の効果で獲得するときは剣術A、槍術Aとだけ表記されてたというのに、いざ剣術Aを詳しく見ようとしたら大量の戦闘アビリティや流派のアーツなんてものが出てくるのだから驚いたものだ。

 まぁアビリティやアーツ、その辺はフィルナのステータスチェックの時にでもおさらいするとしよう。


 そんなことよりやりましたよ!

 魔法を習得! ゲットだぜ!


 もちろんセルフィさんといたした時にゲットしたものなんですけどね。


 ちなみに魔法を使うのにはやっぱり発動体が必要となるらしい。

 生活魔法と避妊魔法には不要なようだけど、黒魔法と白魔法、使役魔法には必要不可欠なのだそうな。

 後で買わなきゃだな。

 ちなみに杖以外にも指輪型、腕輪型、剣や槍などの武器型などと、様々な形状があるらしい。


 だが、魔法使いは好んで杖を使う。なぜか。

 それは、杖の方が魔法の威力が向上されるよう工夫されていたり様々な工夫が施されているからだ。

 素材や付与魔法などで様々な副次効果を持つ物が多く、どうせ白兵戦闘しないなら杖の方がだんぜん有利なのだとか。

 もっとも、指輪や腕輪などにも同様の工夫がされている物もあるそうなので、魔法戦士なんかは指輪や腕輪を好んで使うらしい。

 まぁ、稀に剣や槍など、武器としても使えて杖のような効果もある魔剣的なものもあるそうだが値が張るらしいので当分は関係が無さそうな話かな。

 とりあえず、お金がたまったらゲットしてみたいと思う今日この頃な訳だ。


 さて、そんな事はポイっとゴミ箱にでも放り捨てておいて、俺のステータスを見たみなさまのご感想はというと?


「相変わらずずるいよね」

「二人の愛の結晶なの」

「ふぇ? どういうことです?」


 一人だけ何も知らないルティエラが頭の上にクエスチョンマークを浮かべかねない勢いで首を傾げている。


「でもまぁ、ボクらにも恩恵はあるし、いいか」

「二人の愛の……結晶なの」


 うっとりと頬を染め桃色そうな吐息を吐くセルフィ。

 ちなみにセルフィの時は特に問題なかったが、フィルナの場合、俺のスキル内容を初めて説明した時の反応はそりゃあヤバかった。


 なんかもう捨てられた子犬のような表情で「もしかして、スキルが目当てだったの?」って泣きついてきたのだ。

 まぁ、当然の如く「そんな訳ないだろ」からの「フィルナが魅力的だったからだよ」と口説き落としてから繋がる撫でキスコンボでそのまましっぽりむふふと切り抜けたんだけどさ。


 ところで、なんでレベルが1からいきなり42まで跳ね上がってんの? って疑問に思った方もいらっしゃるだろう。

 これが俺の脳内語りでなく、もし小説とかで誰かに読まれているんだとしたら、そりゃあもう疑問に思うはずだ。


 うん、何が原因かって言われればさ。ナニが原因なんだけどね。

 そう夜の帝王に含まれるスキル。「スキルポイント・経験値獲得・授与[性交]」。これの効果によるものなのだ。

 このスキル、どうやら俺か相手が一回達する毎に経験値が1000点入るみたいなんだよね。

 多分「経験値・スキルポイント獲得上昇SSS」の効果で獲得量が十倍になってるから、実際は100点とかだったんだろうけど。


 ちなみに、現在の経験値は93700点。スキルポイントは9865点だ。

 一週間で沢山いたしたからね。しょうがないね。

 偽装Sランクをゲットして、これなのだ。

 しかも性交で獲得したスキルにはスキルポイントは消費されないっぽい。

 ちなみに、レアスキルの習得に必要なポイントは100だそうだ。

 あらためて思うね。すっげぇチート。


「さて、じゃあ次は……」


 誰からにしようか迷うけど、やっぱ個人的にはまだ知らない方を先にしたいよね。なので……。


「ルティエラ。頼めるかな?」

「は、はい。お見せするのもお恥ずかしいお粗末なものですが……見せなきゃダメですよね?」


 俺がこっくりとうなずくと、おずおずと彼女は前に出て、


「ステータスオープン」


 と口にした。


 表示された内容は――。




 ルティエラ・ハッシェルミーン

 種族:エルフ

 クラス:魔術師

 Lv:18

 称号:なし

 STR:E

 AGL:B

 VIT:E

 SEN:A

 INT:A

 MEN:C

 LUC:A

 APP:A+

 MAG:B


 種族スキル

 暗視

 頭脳明晰

 兎起鳧挙ときふきょ

 感覚鋭敏

 超美形

 美声


 スキル

 貴族

  礼儀作法A


 生活

  料理B

  裁縫C

  家事C


 商人

  説得B

  交渉B

  言いくるめC

  信頼C

  演説C

  談笑C

  算術C


 学者

  魔物知識A

  動植物知識B

  伝承知識B

  物品知識B

  歴史B

  雑学C


 斥候

  探索B

  感知B

  鍵開けB

  罠解除B

  罠設置B

  隠蔽C

  軽業C

  登攀C

  隠密C

  尾行C

  偽装C


 軍司

  戦略B

  戦術B

  陣形C

  指揮C

  統率C


 杖術B

  受け流しパリィ

  切り払いディフレクト


 生活魔法B

 白魔法B

 使役魔法B

 魔力操作C


 特殊詠唱

  対象拡大C

  詠唱短縮C

  消費軽減C




 なんとも痛いところに手の届くスキル構成だ。

 特に秀でたものはない。むしろ戦闘系スキルにAランクが無い。

 だが……。


「斥候もできるのか」

「は、はい。カルナもルッソも、そういうのはあまり得意じゃなかったもので」


 三人パーティで足りない所を全て一人で補ってきたのか。


「料理が得意なのは嬉しいね」

「私より博識」

「主に料理担当をしてましたです。採集の際の見分けなども」


 料理上手で交渉毎も強い。そして知識系スキルが得意とは実に渋い。


 ちなみに知識系のスキルってどんなもん? って思う人もいるかもしれないけど、算術のケースで説明するなら、Cランクだと簡単な計算をしようとすると勝手に脳内で計算されて答が自然と導き出される感じ。

 まぁ、頭に計算機を付けてるようなもんだ。

 だからきっと魔物知識とかはアレだろう。一度覚えた内容とかを脳内検索できたりするのだ。多分。


 礼儀作法がAランクというのも実に名家のお嬢様っぽい。


「何かボク達の足りなかった部分を全部補ってくれそうだね」

「私の苦手だったジャンルが全部そろってる」


 フィルナもセルフィもルティエラの実力を認めているようだ。


 そして後特筆すべき点は……エルフの種族特性である頭脳明晰、兎起鳧挙ときふきょ、感覚鋭敏とかか。

 これらはそれぞれ、知能、敏捷、感覚のランクを上げる効果があるスキルだ。

 というか、ランクを上げるというよりも種族としてこれらが得意、というのを現しているだけな感じもする。

 まぁ、種族スキルは獲得・授与の対象外なので手に入らないのが残念な所ではあるが……。


「じゃあ次は、と」


 俺は適当に見回してからセルフィを見つめ、


「セルフィよろしく」


 ステータスの開示を促すのだった。






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  オマケ



  経験値について


 モンスターと死闘を行うなどでも当然得られるが

 実は日常生活でもきちんと努力していれば1日に1点は得られる

 幼少期は努力しなくても全てが新しい経験なので1日に1点増える

 3歳ごろから多少努力しなければ伸びなくなり(人による)

 10からは努力しないと伸びない

 努力の量により多少変動がある

 遊んでばかりいるとどんどん差は開く



  レベルについて


 1レベルから3レベルまでは1レベル上昇に必要な経験値は100(必要EXP200)

 3レベルから5レベルまでは必要経験値200(必要EXP400)総計600

 5レベルから10レベルまでの経験値は一律300(必要EXP1500)総計2100

 10から15までの経験値は一律500(必要EXP2500)総計4600

 15から20までの経験値は一律1000(必要EXP5000)総計9600

 20から30までの経験値は一律2000(必要EXP20000)総計29600

 30から35までの経験値は一律3000(必要EXP15000)総計44600

 35から40までの経験値は一律5000(必要EXP25000)総計69600

 41以降の経験値は一律10000(必要EXP50000)総計119600

 51以降は20000

 81以降は30000

 91以降は40000

 101以降は50000


 18Lvまでは二十歳になるまで普通に頑張れればそこそこいける

 20Lv中盤以上は場数を踏んだベテランや熟練者など戦闘をこなさない限り至れない場合がほとんど

 30以上は達人などがようやくたどり着けるかどうかという境地

 50まで行けば英雄と呼ばれる


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