第26話 人たらし

「可愛いねだっけ?愛してるよだっけ?なんだっけ?愛してるよって言うんだ。そうだ、思い出した、愛してるよって言うんだ。だから私には言えないの。愛してるよって言えないの。好きだよって言えるんだけど、愛してるよって言えないんだよ」


「しの、愛してるよ」


「…私もだよ」


「なんなんだよ、おまえ(笑)」


「(笑)」


「あーあ、オレがこんな風にしちゃったんだな、しののことをな」


「そうだよ、だから言ってたじゃん、おにいちゃんはさ人をさ、なんかさ………何て言うの?」


「狂わせる」


「そそそそそ!あの人もそうじゃん、あの人も」


「何?」


「ん?あのお方もそうじゃん。私さ、ヅラ被ってきたのもおにいちゃんのためだと思うよ」


「はっははは(笑)違うだろ、それは自分のためだろ(笑)」


「そお?(笑)」


「うん」


「少なからずおにいちゃんに触発されたんだと思うよ、私。Wちゃんもそうじゃん」


「うん」


「みんなそう、みんなダメになっちゃうの(笑)」


「オレがいけないんか(笑)」


「そう(笑)」


「オレがいけないんかよ(笑)」


「よーく考えてみな?奥さんもダメだと思う(笑)」


「何を言ってんだおまえは(笑)」


「奥さんもダメだと思うし子供もダメだと思うよ(笑)みんな多分ダメなんだよ(笑)」

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