第6話 わがまま

「うん……なんだよ、急に(笑)」


「って思ってたけど、ちょっと待てよと」


「ちょっと待てよと」


「そう」


「そんな簡単なあれじゃねーぞと」


「ふふふふ(笑)そうそう、そうそう」


「私はそんなにメンタル弱くねーぞと」


「そう、そうそう。ちょっと待てよと、自惚れてんじゃねーと」


「うん」


「いや、ちょっとね、ほんとに、思いまして」


「死んじゃう?」


「いなくて?」


「うん」


「いなくて死んじゃうと思った、もう無理だめ。おにいちゃん、連絡ないダメだって思ってたけど、ちょっとね、根性ぶったたき直してね」


「うん、なんだよ」


「あはははは」


「なんだよ。よくわからんよ。君の言ってることは」


「ぶったたき直して、あの、その、まぁ…、ぶったたき直したんだけど」


「うん……。で、どうしたの?」


「……ぶったたき直したんだけどダメ、淋しくて死んじゃいそう」


「ダメ?」


「ダメ。無理」


「どうしよっか?」


「どうする?……もう」


「捨てちゃえ。使えないやつ」


「え?何?」


「使い物にならないやつは捨てちゃうしかないんだよ」


「使い物にならないのは捨てちゃえ?」


「うん」


「捨てない」


「ねぇ~。使い物にならないからね~」


「ね~、なんでどうにかならない?いや、ダメ、ダメ」


「ふふふふ(笑)」


「ふふふふ(笑)」


「いや、どうにか、どうにかしたいよね、オレもね」


「ね、ね、ね、でもさ、その1コの福岡が終わればさ、ちょっとはさ楽になる?楽?楽っていうか、楽ではないけどさ」


「ねぇ~」


「ね、どう?わかんない?全然見えない?」


「いや、楽っていうか」


「楽ではないね、うん」


「あー、違うの始まるからね」


「え?」


「また違うのがどんどん始まるでしょう」


「何?違うのって?」


「いや、違う現場が始まるでしょってこと」





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