コーヒーを飲む、その心

私たちは、コーヒーを飲むのです。


朝起きて、焼きすぎたトーストの流し込みを手伝ったりして。


ホームに立ち往生で、10分遅れてくるらしい列車を待ちつつ。


派遣先会社という私のスペースで、冷たいランチを終えてから。


隣席人のくれたパサつくお饅頭を相手に、お八つ時なんかにも。


部屋で独りテレビに向かってか、まだ続くだろう残業の慰めにも。


私たちはコーヒーを飲み続けるのです。


私たちのための間接税が、たとえ30パーセントの率になっても。


文字通り大型な間接の、税率が50パーセントを超えたとしても。


私たちは意固地なまでに、いつでも、コーヒーを飲みたいのです。


私の飲むコーヒーで、その年間に納まる税が、どう使われても。


日夜飽かずに、ささやかな気持ちで嗜み、その贅を飲むのです。


コーヒーで納まる税が、本当に必要とする人たちに届かなくても。


朝起きて、目覚まし時計の電池が切れてしまっていても。


私の心は、コーヒーを飲むことに、なんら左右されません。

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