第7話 見ている


潤楼が携帯を使ってネットの中へと入った翌日、全国ニュースで今回の不可解な事件が放送された。潤楼の家族の事と共に……。


そして更に追加のニュースが流れる事になった。それは現場に来たマスコミの中で少なくない死者が出たのが原因だった。


理由は明確だった。それは阿羅鷲家の敷地にカメラを回し、アナウンサーが喋りながら入り窓から家の中を映した瞬間だった。


「こちらが今回泥棒が入られたと思われる阿羅鷲被告の生家です。家族は両親共に車に轢かれ無くなっています。更に阿羅鷲被告には兄と妹がいたそうですが、兄は臓器売買を行っている犯罪組織によって殺害され、妹さんは強姦によって亡くなっているそうです。では泥棒が侵入したと思われる窓から家の中を見てみましょう。……?泥棒が侵入したにしては綺麗ですね……!?なんっ…ギャァァァァァァァァ!!!!」


阿羅鷲家の敷地に入っていた3局合計15人が次々と脚や腕、首などが本来は曲がらない方向へと曲がり、外へと棄てるように飛ばされた。一目見で死んだと分かってしまう曲がり方だ。


そして機材も敷地の外……人がいる方へと棄てられた。


1つだけ良かったと言えたのは生放送をしていなかった事だろう。もし、1局でも生放送をしていたら……いや、ただ少し人類の死が縮んだだけなのだから別に良かったのかもしれない。


どの局も生放送をしていなかった理由は一致していた。それは


だと思ったから


本能は気付いていたのだろう、ここは駄目だと。もしかすると編集して幽霊がいるように見せかけるためだったかもしれないが……。


外にいた他の人達の悲鳴も上がり辺りは混乱に陥った。飛んできた機材により怪我した者もいた。


警察や救急車も来る自体になったが人間が出来ないような殺し方と死んでいなければおかしいと言う人を見て、警察の人も救急車に乗ってきた消防士も声を失ってしまった。


消防士は怪我をしている人を見て我に返り、手当てをし始めた。


数日後、霊能者を沢山呼び、除霊や霊との交信をしている所をを撮ると言う事が何回かあったが家に変化は訪れる事はなかった。もちろん敷地内には入らずに行っていた。


しかし、現場に来たのは偽物の霊能者で本物の霊能者は放送された家を見て関わってはいけないと思ったようだ。マスコミから来て欲しいと言われても断固として来ることは無かった。


家を取り壊そうとすると当然のように実行者、そして計画者までもが凄惨な死体となって発見された。


最早触れてはいけない建物として扱われていたが、馬鹿は何処にもいるので敷地内に肝試しや動画を投稿するための者達が入り死体になっていった。


建物に侵入禁止のテープを貼ることすら躊躇う程と言うのに……しかし、危険さが分からい者達のお陰で人が敷地内に入る事は無くなった。


しかし、ネットでは阿羅鷲家をバカにする者やあの犯罪者の妹で抜いたなど笑っている者が多かった。ニュースでも阿羅鷲潤楼が最悪などと流れていたせいでもあるのだろう。そして危険なのはあくまであの家の敷地内だけだとニュースを知ってる者達は思っていた。


それを潤楼がとも知らずに……。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る