36
SIDE加須和夫
「HIT!」
これで一段階クリア、か。
(ああいう奴らは自分に優しくしてくれた人間が自分達のせいで傷つくと精神的に追い詰める事ができる…あんなバケモノでも人間だしなw)
今の段階で彼らを傷つける必要はなかったが、一般人にああやって接触され続けると面倒なので人が少なく、消えてもいいような人たちと接している時を選んだ。
これで、表沙汰にする事なく殺す事ができる。
「もしもし?こちらの役目はしっかりとやった。後は追跡を頼んだ。」
もちろん一人ではない。
殺したら大金が手に入るが、相手は化け物だ。ならばチームを組んで殺すのが良い。
「ああわかった。成功したら分前を…」
「?おい、ノイズで聞こえねぇぞ?」
故障だろうか?いや、もしかしたらタダ働きにさせるつもりかもしれない。
「おい、なんとか言えよ!」
「お前が言えよ、カス。」
後頭部から大きな音がした瞬間、世界が真っ逆さまになった。
(な、え?)
何がどうとかこうとか全くわかんなかったが、これだけはわかる。
“襲撃”されている!
即座に腰の拳銃を抜こうとするが体が全く動かない。
びくともしない。
だが、声は聞こえる。
「別にお前に何かして欲しいわけじゃないんだ。つか、お前って正直無能そうだし何もすんな。って事で死ね。」
とても何言ってんのかよくわからない事を言われたが、これだけは分かる。
化け物だ。こんな理不尽、人間に出来やしないと。
時間は十分遡る。
SIDE無常
「で、手を出してきたカスどもってどうすんの?」
「逆にローズはどうしたい?」
もちろんぶちのめしたい気持ちの方が高いが、そんなことでローズを巻き込むわけにはいかな「ぶちのめそうぜ!」い…?
「マジ?」
「何?腰抜けた?」
「いいや?なんなら腰痛が治ったね。」
「何言ってんだ?」
とりあえずさっきの爆発野郎をブチのめすのは決定した。
問題はそいつに位置だろうけど…気配察知と錬成でいけるか?
アイデアはもう思い浮かんでいる。
異世界で地脈とか龍脈とかそういった物に干渉できたんだ。
じゃあ、そこら中にある電波を使えば…いや、どうやって言語解析する…ってできんじゃねぇか!
(電波情報を回収して錬成し、鑑定)
鑑定は自分がわからないことでも理解できるように表示してくれる。
何せ物体の構成情報もだしてくれるのだ。電波の言語化ぐらい…多分、できる。
(鑑定のレベル的に解析できる情報には限りがあります。レベル=演算能力と考えてください。)
「とりあえず、あそこの屋上に降りるぞ。」
適当な屋上に降りて此処ら一体の電波をかき集め…痛った!
頭に情報が入りすぎて計算が…できるわ。うん、行けそうだな。
錬成で正常な状態の脳を記録し、異常に負荷の掛かっている部分を治す。
ローズの治癒魔法を見て思いついたものだ。
(0と1の世界を無理やり言語化したけど…この元となる情報ってどこから来てんの?)
うーん、ほんと謎だわ。
そして、現在。
廃ビルの6階。
爆弾…いや、迫撃野郎の真後ろから錬成で動けないように固定した。
さて、どうしようか。
「なんか良い案ある?」
「あ?盗賊とか荒くれ者って勝手に殺したらダメなのか?」
「ダメ。一応法律とかあって、過剰防衛で人を殺したらだめなんだよ。」
「あーなるほどな。理解した。じゃあ縛り上げて放置…いや、さっきなんかコイツ誰かと話してなかったか?」
恐らくコイツの同業者あたりと話してたんだろう。それを考えるとコイツから情報を得るのが一番かもしれないが…
「コイツを尋問して情報聞き出すとかめんどくさくないか?」
「ま、殴ってたら情報吐くんじゃねぇの?」
本当にバイオレンスだなおい。
「いや、やめよう。そんな事するよりも旅をした方が楽しそうじゃね?」
「良いのか?ま、別にいいけどさ。」
納得してくれたようで後ろを振り向いた。
どうやらこの迫撃野郎も心なしか安堵している様子だ。
「あ、別に君を見逃したわけじゃないよ?」
耳元で囁き、抵抗が大きくなったのを見計らって創造で魔石を作る。
一応ゴブリンから魂を抽出した愚者の石を持っているが、念のために予備を作っておくことにした。
断末魔はさせない。
肉塊となったソレをサイコロ状に錬成し、アイテムボックスに入れた。
(結構早く魂を抽出して付与する事ができたな…やっぱり練習って大事なんだな。)
地面に落ちていた様々な武器を回収し、ローズの方に向かう。
さて、ローズと一緒に旅をしようじゃないか!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます