六でもない神サイト〜異世界に拉致られて強制配信で晒されてますけど、なんとか生きていきます〜ゲッシュルーラー

木原 無二

ロクデモナイ神サイト

1

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注意!作者は導入などの始まりの部分が苦手です!1、2、3話は、ながら見で読むのをお勧めします!(だってそうじゃないと面白い所を読んでもらえないんだもの…)

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 カメラの前でピンクな彼女は語る。

都市伝説を語るように。

「それはいつからあったのかもわからないサイトだった。

 本当にどこにでもあるようなサイトでたまたま一人の人間が見つけそれから次第に噂になっていた。

 曰く、 ライトノベルの主人公みたいな能力を手に入れることができる

 曰く、世界の各国の諜報機関が血眼になってサイトの運営者を探している

 曰く、サーバーがない

 曰く、運営者は人間じゃない…

今日の都市伝説はこれでした!まったねぇー!!」


  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 誰かが言った。このサイトはバベルの塔への鍵じゃないのかと。


 この話題が出たのはおよそ半年前。

 とある都市伝説系ゆらツーバーが投稿した動画で紹介された。

 何でもこのサイトに書かれている『後〇〇日』。

 この日数の数字が誰でも読めるというのだ。


 その動画を見た一人の外国人が『私にも読める!』とコメントしたことから一点。瞬く間にインターネットの海を『本当の情報』として駆け巡って行ったのだった。

嘘、欺瞞、悪意の群れの中で『本当の情報』とはそれだけで価値がある。

 その結果、テレビで紹介されるようになり、これは調査するべきだと言う人たちが増え始めた。

 今じゃ国を初めとした研究機関、民間企業がこのサイトに対して動いているらしい。


「ほんと、あれのお陰で今じゃ有名人だもんなぁ。な?」

 タブレットの画面の可愛い桜色のキャラクターのアイコンが光る

「いやぁ、ウホウホすっわ。広告最強。」

 通話相手は例のゆらツーバー、桜餅サンドリヨン。バズる前にFPSのとあるゲームで一緒にプレイしていた事で今じゃネッ友だ。

 話題はもちろんこのサイトのことについて。


「そろそろスッかね?」

 そう今日は……その日。

 ネットではもちろんお祭り騒ぎ

 テレビでも取り上げられることだろう

 そしてこいつはそれを生放送で配信しないのだろうか?

「……おい!聞いてんのかよ無常!」

「きいてるきいてる。でかい鼻くそがどうしたって?」

「どこに鼻くそでできた?!クソ!コイツ寝ぼけてやがんな!」

「お前テンション高すぎない?」


 そして、その時は、来る。

 ……10、9、8、7、6、5、4、3、2、1、0

「おや、何かサイトが更新されたようだぞ?」


 ネット上にはびこるあらゆる変態から陽キャ、陰キャから自宅警備員まであらゆる人が気にしていたサイト。恐らく主婦までもが気になっていたサイトだろう。

 だがそのサイトにかかれていたものは意外なものであった。


 私との盟約により以下の通りにしてもらう。拒否はできないものとする。

 1つ目

 今から2週間後無作為に選ばれた100名の人類の人々は異世界に行ってもらう。

 2つ目

 そしてその一つ目に選ばれた者は新天地で生活を送ってもらう。

 その時の光景はこの地球にいる人類に見られることになるだろう。

 3つ目

 異世界では自由に動いてもらって構わない。

 4つ目

 2週間後選ばれる人々は開始1分前に通知が来るから

 準備をしておくがいい。


「…なるほど、意味が分からん。」

「何じゃこれ」

 7つ目 

 今閲覧することができません

 8つ目

 今は閲覧することはできません

 9つ目

 今は閲覧することができません

 10つ目

 今閲覧することができません

 ………………


「さすがにないだろこれ」

「だよな〜」

 単純明快にこれが悪ふざけによる嘘だと分かった。


「ていうか新天地、か」

「この新天地って異世界とか並行世界とかそういうものだよね?」

 考えたら考える程馬鹿らしくなってきた。

 というか、

「これ全世界から100人ってことやろ?

 まず当たらん」

 そもそもこんな上から目線のやつの世界なんか行きたくない。

「それなぁwww」

 馬鹿らし。アホらし。

「それよりもお前の動画どうなるんだ?」

「新天地のことについて語るwww」

 シュールだな

「ん?何だこれ?」

 どうやら何か発見したらしい。

「どうした?」

「サイトに掲示板って書かれたタグが増えている。」

 何?とりあえず見てみるか

 ということで新しく開かれた掲示板を見てみたらすげー書き込まれていた。

「書き込みの量がえぐい」

「世界中の変態から政治家までもがここに集まってるねんな。」

 あっという間に民度が悪くなっているながわかる。

「言語によって掲示板が違うんだ!」

「おいおいwヒエログリフ板なんかもあんぞ!?」

 それ、パソコンでそもそも打ち込めんの?


 そして、あれから2週間たった。

 いつもと変わりない日常。


 学校サボってタブレットでゲームして

 ラーメン食べて

 ポテチ食べて

 コーラ飲んで

 ラノベ呼んで

 アニメイト行って

 ゴロゴロして

 気分転換に性処理して

 まぁ、そんなかけがえのない日常生活を送っていた。

「そういやもう2週間だよな?」

「あ〜異世界だっけ?」

 あの後、彼女の人気は落ちたが元々の五倍にまで増えたのでよかったらしい。

「さすがに、…なぁ〜」

「だよなぁ〜」

 もちろんのことだがネットではすでに忘れられている。

 興味のないことはすぐに忘れる。それが人間だ。


『掲示板』

  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 おい、始まんぞ!!

 今北産業

 このお祭り騒ぎよwww

 異世界に連れってくれ!!!

 それみんな待ってることwww

 あんなの嘘W騙されてるバカしかいねえわW

 嘘でも面白かったらいいんだよ

 それな

 それな

 ………

 ……

 …


  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

「湧いて出る

   火に向いて逝く

         虫の性」

 よし出来た

「人が虫のようだ!」

 おいやめろ。

「また残り通知が来るまで10秒ぐらいか」

「なんかドキドキしてきた」

 いや、流石にしないだろ

 そもそも、

「お前は選ばれねえわ」

 コイツは新天地とかで生きていけねぇだろ。

「なんでだ!」

 その時だった

 頭にものすごい頭痛が来た。

 まるで頭にドリルが突き刺さってくり抜かれそうになっているような…

「…痛い!!イッタイ!!!」

 あまりの痛さに思わず泣いてしまう。

「!大丈夫か!おい!」

 その時だった。

 頭の中に分からないが理解できる言葉でささやかれたのは。

“ 今から異世界に行ってもらう

 自由にしてくれ

 BY神♡”


「……はあ?!」


「!?どうした!」


 どう説明していいかわからないが時間もあまりないんだろう

 直感でわかる、これは本物だ。こんな事出来るやつがただの厨二なわけがない。


「……時間があまりないから単刀直入に言うと…どうやら異世界に連れて行かれるらしい?」

「…がち?」

「…多分だけど」


 痛みは収まったが時間はもうあまりない。

 ならば伝えるだけ伝えよう。


「とりあえず包丁だけでも…」


「聞いてくれ」


「!……なんだ?」

 まるで遺言をいうような、いや、遺言なのだろう。

 だが、それではこいつが可哀想だ。残されて行くやつの気持ちは、自分が一番分かっている。

「見ていろ。」

「へ?」

 向こうの世界で見られている。そう書いてあったはずだ。

 細かいことは言わずに台所に行き包丁を手に取る。

 ついでに家にある緊急避難用のカバンを背負う。

 この家は親が遺していった家だ。

 一人しか家にはいない、伝えたい相手には伝えた。

 そして、足元に光が出てくる。


「…どうやら時間のようだ」

「……早いよ」

「…ごめん」

「…絶対に戻ってこいよな!」

「…あぁ」

 そんな本当に戻って来れるかどうかわからないのに思わず頷いてしまう。

「……………行ってらっしゃい!!!!」

 ……あぁ、こういうときはこう言うんだったな…

 声に出すのも、この家で言うのも懐かしい。


「いってきます」



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