髪型
お昼ごはんを食べ終わると、僕は女性陣二人に確保された。
「さ、ちづき。可愛くなりましょう」
「へ?ぼくが・・・?」
「ソ、ソンアリー・・・まだしなくていいんじゃないのか・・・?流石に早すぎじゃ・・・」
ノルドさんは冷や汗をかきながら言っている。どうしたんだろう?アルシアお兄ちゃんもダラダラと謎の汗を異様にかきながら、ノルドさんの後ろに隠れている。
「何を言っているの。こんなにかわいい素材があって、手を加えないほうがおかしいわ。まずは髪型かしら?」
「そうねお母様。私もとてもワクワクしています。」
お姉ちゃんはキラキラした目をしている。これから何をするんだろう?
「・・・ちづき、すまない。逃げたくなったら、いつでも逃げていいからな?むしろ今逃げたほうがいいと思うんだが・・・」
「????」
ノルドさんはソンアリーさんの目を見ていられないようで、もう俯いて喋っている。なにか疚しい事でもあるのかな?
「ご、ごめんちづき。俺には助けられない」
アルシアお兄ちゃんがノルドさんを引っ張っていきながら喋った。何か助けてもらわなきゃいけないことでもあったかな?
「さあ、行きましょう。ちづき。」
「行きましょう、お母様。私もう我慢できません」
二人に両肩を掴まれて連行されていく。そして、一つの大きな部屋に入った。本当に大きくて天井を見上げると、きれいな装飾がされていてキラキラ光っている。
「ここでなにをするんですか?」
「お着替えよ」
「可愛いちづきのことだからとっても可愛くなるわ!って言っても、まずは髪型よね・・・お母様、何が似合いそうです?」
「そうねえ・・・ショートもいいけれど、そのキレイな白髪を残すという選択もありだわ・・・」
「みつあみも似合いそうですね」
二人がずっとブツブツ言ってるけれど、小さすぎて何を言っているのか聞こえない。なぜだか悪寒が走った。
「「よし!決まったわ!ちづき、目を閉じて!」」
「え?え?」
戸惑いながらも目をつむる。
ああ、そんなことは私達がやりますので・・・という、メイドさんたちの声が聞こえる。髪が引っ張られているようで少しだけ痛い。
「出来たわ!」
「鏡を見てみて!」
そう言われてそっと目を開けてみる。大惨事になってませんように・・・。
恐る恐る差し出された鏡で髪型を見てみると、僕のボサボサだった髪型はきれいに整えられて、後ろに三編みにされている。三編みは少し形が崩れていて、二人が編んでくれたんだということが直ぐに分かった。
「可愛い・・・」
「そう!良かったわ!」
「少し形が崩れてしまったけれど、許してね?」
「大丈夫です。僕はこっちのほうが好きだから」
ふふふと三人で仲良く笑い合う。
「さあ!次は服よ!!」
二人の顔がもっとイキイキし出した。あ、こういう時の女子には関わらないほうがいいよって直感ていうか・・・中学二年生まで生きた僕の本能が言っている。
皆どこだろうと思って見渡すと、ノウルだけが部屋に居て、退屈そうにあくびをしていた。あのもふもふに飛び込んでこのなんとも言えない恐怖から逃れたいと思ったけれど、僕の体が動くより先に二人に捕まえられた。
「「さあ、着せかえ人形になってください」」
二人とも笑顔だけれど、笑顔じゃない。
このあと、僕は二人のきせかえにずっとつきあわさせられましたとさ・・・本当にしんどい。ふたりとも大変な目に会ったんだなあ・・・。あの顔をするのに納得できてしまう
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