第24話 朝の占いを信じたい俺とクールだけどたまにドジで可愛い美少女
月曜日の朝。
キッチンでは
目をこすって
今日の天候を確認した後dボタンを押して占いコーナーを開き、今日のラッキーアイテムを確認すると気になることが書いてある。
「えっ……?」
「
「いや、なんか12星座占いで天秤座のラッキーアイテムが『占い師』になってるんだけど……」
「ラッキーアイテムで人でもありなの!?」
「俺もそう思ったんだけど……」
朝から自分の誕生星座に疑問を抱え、解決できないまま俺は実川さんと学校へ登校した。
いつものように学生の多いい交差点の前まで来るとそこからは実川さんと時間を少しズラして登校する。これもクラスの同級生や知り合いに見られて厄介事になるのを防ぐためには必要なことなのだ。
交差点で二回目の青ランプが灯って横断歩道を渡った俺は学校に向かって歩き出す。
これもいつもと同じ行動。11月になったせいなのか最近は少し朝が寒く空気が澄み切っているのでズボンのポケットに手を突っ込んで手を温める俺の背後から聞き覚えのある声で見覚えのある女子が喋りかけてくる。
「春くんっ!おはよぉー」
「
子犬のようにクシャっとした可愛い顔で挨拶してきて俺の隣に並んだのはクラスの巨乳担当で俺の友達の木村真弥だった。
サラサラで綺麗な髪からは甘い香りがして可愛い美少女をより演出させる。
俺がいるクラスの女子の顔面偏差値が高い理由は主に実川さんと真弥さんがずば抜けて美少女だからだろう。
「春くんってこの間誕生日だったんだね。水族館行った時に教えてくれればよかったのに」
「うん、ごめん。でも俺その時自分が誕生日だって気づいてなくて……」
「ほぉー。うっかりさんな春くんも可愛いですなー」
それから俺と真弥さんは他愛のない話に花を咲かせながら教室まで一緒に登校した。
◆
――朝のホームルームが終わって俺はバックの中から一限目にある現代社会の教科書を探していた。
「あ、春おはようー 俺、現社の教科書忘れちゃったわ……」
「
「でもお前はいいよなぁー。忘れたら隣の席の実川さんと机をくっつけて授業が受けれるんだからよ」
「お前って実川さんは諦めたんじゃないのか?」
「そんなこと一言も言ってねぇー。俺は実川さん一筋の紳士な男だ」
遊矢のターゲットは意外ところころ変わっていくので定期的に聞いておかないと近状を把握できない。
「遊矢って顔は整ってるのにモテないよな」
「それはお前も同じだろ。あ、やべえわ!もう授業はじまる」
そう言い残すと遊矢は後ろのロッカーにそそくさと準備物を取りに行った。
――授業が始まって俺は手を上げ先生に教科書を忘れたと伝える。
やはり先生は隣の席の人に見せてもらいなさいと俺に指示をしてきた。
「ごめん。教科書見せてもらえないかな?」
俺は学校仕様のクールな実川さんに手を合わせお願いした。
すると彼女は目を細め鋭い蛇のような表情で言う。
「綾瀬くん。次は必ず持ってきてね」
「あ、うん……ごめん」
静かなトーンで言われると少し怖い。
俺は実川さんと机をくっつけた後また頭を下げる。
すると実川さんがノートの端っこになにやら小さなさく文字を書いて俺の机にスライドさせてくる。そこには薄く小さい文字で『全然怒ってないからね!また忘れてもいいから』と書いてある。なんか二人の秘密を共有してるみたいで楽しい。
俺は実川さんの方を見てニコッと笑って返すと彼女も少しだけ笑って返してくれた。
授業が終わった後、俺は机に伏せてぐったり。
50分も机と向かい合ってノートを書くのは集中力がもたない。
隣の実川さんは結構集中して取り組めてたけど……。
「綾瀬くん、おつかれだね!」
「うん。原子力発電の説明が分からなすぎて理解するのに凄く疲れた」
真弥さんが俺の腕の皮を抓りながら話しかけてきた。すると隣に座っている実川さんも話に混ざってきた。
「綾瀬くんは集中力がなさすぎ。家でも勉強してないから……」
「え? なんで紗希が綾瀬くんが勉強してないって知ってるの!?」
「そ、それは見るからに頭悪そうだから」
(今、俺むちゃくちゃ傷ついたんだけど……)
「あぁー そっかぁー」
(なんで納得できちゃうんだよ!?)
すると実川さんが真弥さんには見えないように俺の方を見て『ごめん』とジェスチャーしてくる。
俺はコクっと頷いて返す。
それでもまだ申し訳なさそうに謝ってくる実川さんが可愛く見えて仕方がなかった。
◆
――放課後になり今日は実川さんとではなく一人で下校
風が吹くと少し肌寒くて早く家に帰りたくなる。
そんな中俺は一刻も早く家に帰りたくて速歩きして帰っているとコンビニの隣に紫色の変わった屋台のようなもが視野に入る。
少し気になったので路線を変えて近づいて行き看板に書かれた文を読むと『無料で占ってます』と書かれていた。
その時頭に
俺はこの機会にと思い表に座っていたロン毛のオネエみたいな人に話しかけた。
「あの、無料で占いってやってるんですか?」
「うん、そーね。今だけ特別サービスなのよぉ。君やってみるぅ?」
「あ、はい。無料なら」
俺はロン毛のオネエに誘導され薄暗い小さな建物の中に入った。
椅子に座って待っていると先程のオネエのおじさんが正面の椅子に腰を掛け占いにはベタな水晶を机の上に置いた。
「じゃあ、何から占う?」
「俺には彼女ができますか?」
「そうね。学生はみんなその質問してくのよねぇー」
占い師のオネエさんは突然表情を変え水晶を
少し時間が経ってから占い師は顔を上げ俺の方を見て言った。
「彼女かどうかは分からないけど貴方と仲のいい人の中に未来のお嫁さんがいるわね」
「どんな見た目ですか?」
「それはわからないけど貴方が大切に思っているかけがえのない存在の方ね」
◆
――玄関を開けてリビングに入るといつものようにリビングには実川さんがテレビを観ながら座っている。
俺が帰って来たことに気づいたのかこっちを向いてニコッとし『おかえり』と言ってくれる。
「おかえり」
「今日は遅かったね、何処か行ってた?」
「うん、少し寄り道した」
「ふーん」
彼女はまたテレビの方に向き直って楽しそうに笑っている。
そして俺は少しだけ占いを信じてみたいと思った。
――――――――――――――――――――――――
「そんなわけないか……」
「んっ……? 何が?」
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