お邪魔します！覚えていらっしゃいますか？

他の作品も拝見したくなって、久しぶりにやってまいりました。この作品もとても不思議で、テーマは重いはずなのにどこか妖しくて綺麗な印象を受けました。どうしてだろう…

また少しずつですが読ませていただきますね。

読点の多用と、御作の主題とが相まって、今現在を一コマ一コマその場に釘付けにしておこうとする若さ故の未来への恐怖、或いは文学的な意思に裏打ちされている情熱を、ありありと感じました。

視力が良すぎるヒロインの設定、高反射率の眼鏡という視覚的表現の面白さ、自殺が多発する退廃的世界と個々のパーツは素晴らしいと思います。一方で、物語が展開せずに終わってしまうストーリーに物足りなさを感じました。起承転結の起承で終わってしまっているような感じです。

この作品を読み終えた直後、言葉に形容出来ない何かが胸の中にありました。

子供の頃の目線で見ていた世界の大きさ。そのノスタルジックながら、現実臭みがあるのに、手が届かない文明のなにか。
"見た聞いた"。それが自分の世界の全てなのに、さらに遠くにある何かを求めていた自分。

その眼鏡のレンズが鏡のように、自分を映しているのだ。
自分のどこかに眠っていた、思い出すこともなかった"なにか"
それを蘇らせてくれた、とても素敵な作品でした。