怖い日

狼男は一年のうち、ある日になると地下に潜った。


彼は大きな手と自慢の爪で地面を掘り返し、自身がすっぽり入る程の穴を掘るとその中に隠れて一日を過ごす。


どうやらその日が怖いらしかった。強い狼男が一体何を怖がることかあるのかと思ったが、彼の怯え様は本物だった。


ある時、やっと聞く気になって彼に問いかけた。一体何故、その日を怖がるのかと。彼は少し恥ずかしそうにしながら応えてくれた。


「あの日は僕の命日なんだ」


彼が元々は同じ人間だったのだと、自分はこの時初めて知った。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る