潜むモノ

「最近物騒だよね」


隣の席から友達が言う。


「例の連続殺人事件?」


最近この町を中心に殺人事件が起きている。そのせいか町の空気はどこかピリピリしているし、夜は今まで以上に人が減っている。


「そうそう、無差別なんでしょ?被害者に共通点無しって怖いよね。次は自分かもしれないし」


確かに年齢も性別も一貫性がない。子供の被害者はいないものの若者も年寄りも被害にあっている。


「ね、山も近くないのに獣に襲われたみたいな、なんて」


被害者まるで獣に食いちぎられた様になっている。


「あれ?そんな事ニュースで言ってたっけ?」


友達が棒付きキャンディを頬張りながら、初耳だとこちらを見る。


「噂だよ噂」


自分の影から飛び出した人食いのしっぽをバレないように叩き落とした。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る