第21話 リベンジ戦

「良太、話があるのだけれど」


私は部活の準備をしている良太にそう言った。良太は、最初ポカンとした顔をしていたのだけれど、私の言ったことを理解すると、


「なんだ?」


「マネージャーの募集ってあるのかしら?」


「マネージャー?それならどの部活でもしてるんじゃないか?聞いてみないとわからないけど」


「そ、そう···········」


あれ?思ったよりすんなり?私が流した涙は一体なんだったの?あれ?なんでだろ。すごく恥ずかしくて死にたくなってきた。


「加藤、部活入ってなかったのか?」


だまりこんでしまった私を見かねたのか、良太がそう聞いてきた。


「え、ええ。どの部活もそこまでやりたいものではなかったし」


「じゃあ、なんでマネージャーやりたいんだ?」


「·········!」


私はそう聞かれてまた黙り込んでしまった。黙りこんでしまったのは簡単だ。言いづらいことだったから。だってそうでしょ!あなたのマネージャーをやりたいからなんて誰が言えるのよ!


「···········言いづらいならいいけど。それでどの部活なんだ?知り合いが入ってたら今聞けるけど」


「えっ?部活はもう言ったじゃない」


「え?言ってなくない?」


あれ?ちょっと待って?私は入る部活、言ってなかったかしら。


私は少し前のことを思い出していくと、


『マネージャーの募集ってあるのかしら?』


言ってないわ!


⚫気づくのが遅い。


「陸上部よ」


「えっ?陸部?···········加藤、陸上に興味があったのかぁ」


違うわ。私はあなたのことに興味があるの。むしろ、気になるの。


「とりあえず、先輩に聞いて見るよ。陸部にもマネージャーの先輩がいてさ、ラインも持ってるし」


「ちょっと待ちなさい」


私は信じられないワードが耳に入った瞬間に良太の手を掴んだ。骨が軋むのではないかと思えるほど力強く。


「あ、あの·········加藤さん?」


「良太、陸上部のマネージャーは女子なのよね?」


「は、はい」


「私ともラインを交換しなさい」


私はスマホを取り出すと早くしろと催促した。


「取り敢えず、聞いて見るよ。多分、募集してるだろうから、問題ないだろうけど。一応、聞いてみる。今日、部活見学するか?」


「するわ」


私は良太と陸上部が活動をしているグラウンドへと行った。ウキウキしてしまっているのは良太の隣をひさびさに歩けているからに違いない。


良太のカッコいいところを脳に焼き付けるのよ!

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